真夏の方程式 / 東野圭吾
(ネタバレ有り)
久しぶりの湯川先生シリーズ。(通称:ガリレオシリーズ)
いつものことながら、ミステリー要素だけではなく、人間的要素が多くておもしろかったです。
そして、最後は涙でした。
ミステリーで涙したのは初めてで、せつなくてもどがしい・・・。
以下、ネタバレあり。
storyは、めずらしく子供(恭平君)が登場し、湯川先生との絡みがたくさんあります。
二人がだんだん打ち解けていく様子はとても楽しめたし、
お互いの信頼関係も伝わってきました。
湯川先生が恭平君に、鍵をとってきてと頼むところや、
クサナギさんが恭平君の携帯にかけて、湯川先生が電話にでるシーン、
夜ごはんのシーンなど、二人のやりとりを見ているのがすきでした。
特に最後、湯川先生が恭平君に、
「~(省略) 私は君と一緒に同じ問題を抱え、悩み続けよう。
忘れないでほしい。君はひとりぼっちじゃない。」
と言うところ、もう感動しました。
心に響く言葉でした。
多くの読者のみなさんが言うように、
事件としての犯人の動機は弱いかもしれない。
しかしながら、物語としての全体の出来、登場人物の動き、玻瑠の海、
全ての要素が調和していて、どれをとっても、とてもよく描かれていると思いました。
今回の本は、ぜひともテレビで、映像で見てみたいと思いました。
本来はあまりガリレオシリーズのドラマ化は賛成派ではないのです。
湯川先生のイメージが、「容疑者Xの献身」のときに、本当は人間味のある人だと思ったのですが、ドラマを見ているうちに偏屈な科学者のイメージが強くでているような気がしたので。。
この本では、失礼ながら湯川先生にも人の心があったんだなぁと思いました。
先生の人間味がでてましたね。
他の読者さんはどう思っているかわかりませんが、
私の気持ちは、湯川先生(ガリレオシリーズ)から少しはなれていたのですが、引き戻されました。
読み終えると、ただただ余韻が・・・。
2、3日は他の小説読みたくないと思ってしまう。
ミステリー小説を読んでびっくりすることはあっても、涙することがあるなんて思いませんでした。
完成度の高い作品。
この後、次のガリレオシリーズはどうなるのか・・・
それはそれで楽しみでもあります
*余談*
小説を読んでいると、登場人物の動きや背景などが頭の中でイメージできるものと、できないものがあります。
東野氏の本は、イメージできるものが多いです。
反対に、宮部みゆきさんの本はなかなかイメージできない、頭の中に浮かんでこないんですね。
不思議なものです