『私の本棚』

※不定期公開

運の良い方、縁の有る方、勘が働く方。

ご覧戴けたら幸いです。

心の宝箱【絶望は、生きる力を失わしめる。生きるということはとりもなおさず希望を持つということと同義である】

2024-11-16 10:13:45 | 心の宝箱


『新章神様のカルテ』夏川草介01(小学館2019/2/5)

 

信州にある「24時間365日対応」の本庄病院に勤務していた内科医の栗原一止はより良い医師となるため信濃大学医学部に入局。消化器内科医として勤務する傍ら、大学院生としての研究も進めなければならない日々も早二年が過ぎた。矛盾だらけの大学病院という組織にもそれなりに順応しているつもりであったが、29歳の膵癌患者の治療方法をめぐり、局内の実権を掌握している准教授と激しく衝突してしまう。
大学という巨大な組織の中でささやかな希望を描きだす、シリーズ第5作。

・真面目というのはね、君、真剣勝負の意味だよ P6

・親になるって不思議なものですね P10

・誰が敵か味方か容易にわからない。
そういう場所じゃ、愛想と笑顔が最大の武器になる P29

・理想と現実は違う。
若者は理想を叫ぶのが仕事だけど、それを優しく握りつぶしてあげるのが、僕ら先輩の仕事だ P51

・間違っていないことが、しかし通用しない世界というものが確かにある P65

・なんとかなる可能性は限りなくゼロに近い。
しかし何もしなければ、可能性は、完全にゼロになる P89

・厳しい現実から目をそらすことなく、覚悟を決めて闘う P96

・やまない雨はない。明けない夜はない P98

・豊かな学びは、心身のゆとりから生じる P110

・状況が読めない時に余計なことは言わないに越したことがない P120

・やりにくいのは先方の心根が悪いのではなく、当方の態度が歪んでいるから P130

・どんな理由を述べたところで、嘘と卑怯と小細工は恥ずかしいことだ P138

・目の前のできることに力を尽くせ。後悔しねえようにな P149

・能力の有無ではなく気概の有無 P155

・真面目は大切なことだ。
知識や常識はいくらでも教えてやれるが、真面目というのは容易に伝えられるものではない P162

・明らかな不安が見える。
こういうとき、必要なのは理屈ではない。
急がぬこと、慌てぬこと、そして少しだけはったりを利かすこと P174

・自分にとって新しい事柄、学んだ経験のない事柄に挑んでいるから戸惑うんです(略)
戸惑ってこそ、成長があるんですよ P190

・本当に大切なことって、なかなか気付かないものですよね P202

・人の本性というものは、地位や肩書で示されるものではない。
窮地に陥ったときの振る舞いで見えるもの P207

・奇跡の是非は神様の領分ですが、できることに力を尽くすのは人間の義務だと考えています P228

・正しさなんて(略)
立場によっていくらでも変わる P242

・絶望は、生きる力を失わしめる。
生きるということはとりもなおさず希望を持つということと同義である P253

・細君の笑顔は、大輪の花 P267

・生きることは権利ではない。義務です P292

・過酷な環境が人を変えていく P311

・生きることを諦めたわけではない。生きることの意味を見つめているのだ P331

・人の死が哀しいのは、それが日常を揺るがす大事件であるからではない。
あっけないほど簡単に命が消えていくから哀しいのである P394

・ひとりで歩むのは過酷な道も、誰かとともに手を取り合えば進むことができる(略)
その先にあるものが、希望か絶望かは定かではない。
愉快か苦悩かもわからない。
わからないから投げ出すというのは短慮というもので、
わからぬままそれでも力を尽くして前へ進むということが生きるということ(略)
手を取り合う人に出会えただけで、人生はまことに豊かになる P413



心の宝箱【心が弱ってしまったときには、無理にでも体を動かしてみると、気分が変わるのは本当だ】

2024-11-16 07:03:14 | 心の宝箱


『空は逃げない』まはら三桃01(小学館2019/9/16)

 

佐藤倫太郎と佐藤林太郎。二人は同じ大学陸上部の棒高跳びの選手。
周囲からは紛らわしいと次第にA太郎、B太郎と呼ばれるようになっていた。
方や平凡な記録保持者、方や全国レベルの花形選手の二人の前に練習風景を熱心にスケッチしていた
芸術学部の石井絵怜奈が、突然、自分も棒高跳びの選手になりたいと志願した。
そんな3人の前にある日大きな転機が訪れる。

大学時代と数年後の現在、ふたつの時代を往還しながら、物語は次第に思いもよらぬ場所へと読み手を誘う。


・余裕や謎は、不安をあおる P9

・経済と経験は世界を狭くする P19

・会心というのは、一流の人間しか体験したことがない感覚 P40

・好きなものを生業とするには、
正しい努力と強い心とそれらをコントロールする力、そしてなにより体力が大切 P85

・必死に体を動かしているうちに、ポジティブな気分になってきた。
メンタルとフィジカルは分かちがたくつながっている(略)
心が弱ってしまったときには、無理にでも体を動かしてみると、気分が変わるのは本当だ P99

・芸術は人に元気を与える P119

・痛い思いをした人間は嘘を言わない P145

・人間の脳は、楽が好きなのだ。苦痛よりも快感を好む。
そのうえ早合点だ。使わないなら必要ないと理解して、機能は退行を始め筋肉は衰える(略)
毎日苦しい練習をするのだ。そして苦痛の果てに進歩を見出す P179

・運命が決まっていてもいなくても、人は努力でそれをつかみ取るしかない。
精一杯の努力をしてやっとたどり着くのが天分P191

・やってみたからわかったこと P217



心の宝箱【見た目が地味なものほど美味しさが籠っている】

2024-11-15 23:15:14 | 心の宝箱


『京都下鴨なぞとき写真帖2 葵祭の車争い』柏井壽02(PHP文芸文庫2019/5/22)

京都の老舗料亭の当主の朱堂旬は「番頭に仕事を任せて遊んでばかり」と周囲には思われているが、実は人気写真家の金田一ムートンとして、葵祭、祇園祭、十日ゑびす、人形寺や紅葉の名所等、京都の風物を撮影していた。彼のカメラが捉えるのは景色だけではなく、訪れる人々の秘めた悩み。『松葉』のにしんそばなど京都グルメでその心を癒しながら、ムートンは彼らの問題を解きほぐしていく。シリーズ第2弾、
『大路の紅葉』『十日ゑびすの壺』『人形寺の雛人形』『葵祭の車争い』『祇園祭の無言詣』5話連作短編集。


・口は使ても、金は要らん。あんじょう口を使わんともったいない P8

・妻を亡くした男性は、後を追うようにして逝くことが多い P40

・見た目が地味なものほど美味しさが籠っている P178



心の宝箱【一生幸せでいたいなら、正直でいることだ】

2024-11-15 07:30:12 | 心の宝箱


『カール・エビス教授のあやかし京都見聞録』柏井壽01(小学館文庫2019/8/11)

 

京都にまつわる不思議な体験、してみませんか。
英国人ミステリ作家のカール・エビスは京都にある名門、京洛大学に招かれ、教鞭を執っている。
次回作執筆の参考にと講義がない日には助手の九条葵と京都の街を練り歩き、日々創作の種を捜している。
まだ京都へ来てから日が浅いカールを驚かすのは京都ならではの不可思議な出来事。
時間や空間の概念などないかのように、安土桃山時代の逸話〈宗旦狐〉の母狐が化けた女性の姿を見かけたり、
〈六道の辻〉の案内人である年齢不詳の老婆と出会ったり。
京都人らしい、気遣いができるも小言を言わねば気が済まない性格の葵に振り回されながら、
行く先々でカールは科学で解明できない出来事に遭遇する。

『宗旦狐』『鐵輪の井』『六道の辻』『嵯峨野の竹林』『おかめ伝説』『百夜通い』6話連作短編集。*出町桝形商店街


・男女を問わず、京都人は心と言葉が必ずしも一致しない P16


・ケチではなく始末。
これはある種の京都人の美学 P140


・一日だけ幸せでいたいなら、床屋へいけ。
一週間だけ幸せでいたいなら、結婚をしろ。
一か月だけ幸せでいたいなら、車買え。
一年だけ幸せでいたいなら、家を買え。
一生幸せでいたいなら、正直でいることだ P181

・感情移入できないと、どうしても斜めに観てしまう。
ふーん、としか言いようがなかった(略)
人は誰でも自分が感動したものを否定されると落胆する。
自分自身まで否定されたように思ってしまうことすらあるのだP228

・伝説というものは、いかにもっともらしく見せて伝えていくかが大事なのであって、
一か所でもほころびがあると、そこから一挙に夢が壊れてしまう P243

・何もかもが偶然のできごとのように見えて、
実はすべてが仕組まれた作りごと、はかりごとのようにも思えてしまう P276



心の宝箱【黙っていてはひとの善意に触れるチャンスを逃してしまう】

2024-11-15 04:28:07 | 心の宝箱


『のっけから失礼します』三浦しをん01(集英社2019/8/10)

 

雑誌「BAILA」での連載に紀州パンダ紀行などの書き下ろし5本を加えたエッセイ集。

<目次>
【まえがき】
【一章ニワトリはこっけ】
善人の正体/美容時間の問題/もやしとぬた/あぶれる/黒いスーツの男/「動かないもの」愛好家/一人の戦い/風邪より、宝塚/
有名人愛/グッドモーニング/赤面の理由/浮かれる/危険地帯テラス席/夢を見るのもたいがいに/青(っぽ)い鳥/
章末書き下ろし:その一:理性はわりと不在がち

【二章取られるのはあっけ】
DDの助手/声出していこう!/自分について相談したい/孤高の孤島暮らし/危険な粉末/抜歯涅槃図/荒ぶる一家/
詫びつづけの夜/なにごとも油断大敵/未発見のニュータイプ/三つの愕然/心で伝わりあえたなら/別れの理由/熱帯夜の効用/
未知との遭遇/章末書き下ろし:その二:すれちがいは細部に宿る
【三章幸いなるはもっけ】
イベントとフィーバー/「水もしたたる」はシタルとは無関係です/愛の鞭/生きるってなんだろう/まっとうなる市民の愉しみ/ファッションは愛と平和/弱腰ダース・ベイダー/ぼんやりした世界/奔放なる人々との旅/まちがいにときめく/招かざる客/
きらめきの夏!/映画三昧/はじめての体験/常識を超える体/年末年始は平穏/章末書き下ろし:その三:絶頂を更新中
【四章おいしいのはほっけ】
雪によって判明/非実在野球人生/ありがとう地球!/豊富な経験に基づくアドバイス/黄色いボタンを押せ!/もんもんはいい男/
危険な夏/発想の転換/たいらな世界/うちのぼうや/ウキウキキウイフルーツ/虫と化す日々/のんびり南国宮崎の旅/
無常の味わい/四章書き下ろし その四 仲良しの儀式
【あとがき】
巻末おまけ書き下ろし:もふもふパンダ紀行


・他者に対して質問を発するひとは、
好奇心があってフレンドリーな性格なのはもちろんだが、
同時に「自分の話を聞いてほしい」とシグナルを送っているのかもしれない P14

・黙っていては、ひとの善意に触れるチャンスを逃してしまうのではないだろうか P18

・人間ってのは、世界を善悪や敵味方で識別しないと落ち着かない生き物なんだな P138

・なんらかの人間関係が破綻する背後には、
表向きのざっくりした理由とはべつの次元で、
すごく細かいいろんな齟齬が積み重なっているのだ P140

・なぜ、人類に「想像力」が備わっているのかといえば、
実際には体験できないこと、出会えないひとについても思いを馳せ、
世界をより深く広く知るためなのである P231