『新章神様のカルテ』夏川草介01(小学館2019/2/5)
信州にある「24時間365日対応」の本庄病院に勤務していた内科医の栗原一止はより良い医師となるため信濃大学医学部に入局。消化器内科医として勤務する傍ら、大学院生としての研究も進めなければならない日々も早二年が過ぎた。矛盾だらけの大学病院という組織にもそれなりに順応しているつもりであったが、29歳の膵癌患者の治療方法をめぐり、局内の実権を掌握している准教授と激しく衝突してしまう。
大学という巨大な組織の中でささやかな希望を描きだす、シリーズ第5作。
・真面目というのはね、君、真剣勝負の意味だよ P6
・親になるって不思議なものですね P10
・誰が敵か味方か容易にわからない。
そういう場所じゃ、愛想と笑顔が最大の武器になる P29
・理想と現実は違う。
若者は理想を叫ぶのが仕事だけど、それを優しく握りつぶしてあげるのが、僕ら先輩の仕事だ P51
・間違っていないことが、しかし通用しない世界というものが確かにある P65
・なんとかなる可能性は限りなくゼロに近い。
しかし何もしなければ、可能性は、完全にゼロになる P89
・厳しい現実から目をそらすことなく、覚悟を決めて闘う P96
・やまない雨はない。明けない夜はない P98
・豊かな学びは、心身のゆとりから生じる P110
・状況が読めない時に余計なことは言わないに越したことがない P120
・やりにくいのは先方の心根が悪いのではなく、当方の態度が歪んでいるから P130
・どんな理由を述べたところで、嘘と卑怯と小細工は恥ずかしいことだ P138
・目の前のできることに力を尽くせ。後悔しねえようにな P149
・能力の有無ではなく気概の有無 P155
・真面目は大切なことだ。
知識や常識はいくらでも教えてやれるが、真面目というのは容易に伝えられるものではない P162
・明らかな不安が見える。
こういうとき、必要なのは理屈ではない。
急がぬこと、慌てぬこと、そして少しだけはったりを利かすこと P174
・自分にとって新しい事柄、学んだ経験のない事柄に挑んでいるから戸惑うんです(略)
戸惑ってこそ、成長があるんですよ P190
・本当に大切なことって、なかなか気付かないものですよね P202
・人の本性というものは、地位や肩書で示されるものではない。
窮地に陥ったときの振る舞いで見えるもの P207
・奇跡の是非は神様の領分ですが、できることに力を尽くすのは人間の義務だと考えています P228
・正しさなんて(略)
立場によっていくらでも変わる P242
・絶望は、生きる力を失わしめる。
生きるということはとりもなおさず希望を持つということと同義である P253
・細君の笑顔は、大輪の花 P267
・生きることは権利ではない。義務です P292
・過酷な環境が人を変えていく P311
・生きることを諦めたわけではない。生きることの意味を見つめているのだ P331
・人の死が哀しいのは、それが日常を揺るがす大事件であるからではない。
あっけないほど簡単に命が消えていくから哀しいのである P394
・ひとりで歩むのは過酷な道も、誰かとともに手を取り合えば進むことができる(略)
その先にあるものが、希望か絶望かは定かではない。
愉快か苦悩かもわからない。
わからないから投げ出すというのは短慮というもので、
わからぬままそれでも力を尽くして前へ進むということが生きるということ(略)
手を取り合う人に出会えただけで、人生はまことに豊かになる P413