待っているから

海の症状を電話で聞いた時
もしかしてＦＩＰ？


その事は まだ 四年生のネェーネにも わかりました


ＦＩＰを発症してしまった子の その病気と闘う姿を見る事は
どんなに辛い事なのかも知っていながら


ネェーネは 今すぐ海を迎えに行こうと
言ってくれました


ネェーネは目を逸らさず命と向き合える子供なんだと
すみません 親馬鹿ながら 心の中で
我が子を誇りに思いました


強制給餌の手助けも
一分一秒くるわせるなと言われた 投薬の時間も
海を失わない為ならと自ら進んで協力してくれました


最後の最後まで諦めず海の傍から離れず
祈っていました


カイトが旅立った日
自分の誕生日に家に来てくれた海


授乳も排泄も点眼も
ネェーネは 私がやるねっと
まるで海を本当の弟のように愛していました

ネェーネにとって海を失った悲しみは 耐え難い事だったのでしょう


ヤマトとカイトを失いもう二度と悲しい思いをしたくないと思っても

大切に愛しんできた子達を里子に出すたび
身を切られるような思いをしてきても


猫達を見捨てる事を許さなかったネェーネでしたが


海を失った事は゛ネェーネの心と体を壊してしまいました

もう嫌 もうヤメテ
泣き叫び その夜 高熱を出し 一晩中苦しんでしまいました


そうしよう もう二度と どんなに困っている猫を見つけても
家に連れ帰る事はやめよう

もう これ以上 ネェーネに猫達とお別れする事をさせてはいけないそれが幸せへ
の旅立ちだとしても
もうやめよう
そう思いながら眠れぬ夜を過ごしました


海を荼毘に付すお別れの朝
静かにネェーネが海に言いました


海 ありがとう
待っているから


この世界中で一番 海を愛していたのは
ネェーネでした


ネェーネは知っています
ヤマトはヤマト

カイトはカイト

海は海

その一つ一つの命達に代わりがない事を
だからこそ 愛しい事


それでも待っている
また 輝く命達との出会いを


帰っておいで 愛しい子達よ
待っているから




マリママ


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