最近ブログも随分書き溜ってきたので、どんな事書いていたのか気になり
ちょっと見返してみたら、木が好き、道具が好き、作るのが好きなのに
木工家らしい専門的な話が全く無い「本当に木工家ですか?」と我ながら反省しきり。
この地に移り住んで、自然に溶込むのに時間を要したのは事実ですが、これからは
少しづつでも〈木と関わり〉を書いて行きたいと思いますのでお付き合い下さい。
今回は修理の仕事〈契り(ちぎり)を入れる〉の話です。
素材は、明治時代後期の東北地方「米沢二段重ね衣装箪笥」の上段天板にひび割れしそうな
木目(芯に近い)の為に、念のため内側に五つの契りを入れます。
この箪笥は引き出しの前板が栗材ですが、それ以外は杉材で出来ている最も典型的な
スタイルです。
作業の為に裏板を外すので、まず後ろ四隅の金具を外す。
裏板は木釘で打ち付けてあるので本体に傷をつけないように注意して木釘を切り離す。
型紙を使って墨を付けて、輪郭に鑿(のみ)を入れていく。
天板と棚板の間が200ミリと狭いため電動工具や日本鑿(のみ)が使えず、短いドイツ鑿を使う。
木目なりに効果がある場所に五つ穴掘り完了。
厚さ7ミリの柿の木に、型紙で墨をして穴に合わせて成形、木工ボンドを付けて埋めていく。
クランプで締めて一晩置きます。
クランプをはずし、鉋で平らに削り<契り入れ>が完了します。
この後裏板を竹釘で止め返し、コーナーの金具を打ってワックスで磨いて完成。
修理はそれぞれダメージの症状が違い直す方法も千差万別で、
医者と患者の関係に似ているような気がします。
特に骨董品の修理は、代えが無いので気を使いますが、命が吹き返すと思うと遣りがいがあります。
企業秘密の部分もあるので簡単な説明で恐縮です。
近い将来に、木工指導員の資格を生かしてワークショップも考えています。
道具の事、木の事、面白さ、大変さ.........などお伝えしたいので、作って終わりでは無い
数回のワークショップになると思います。
ご意見等ありましたら参考にいたしますので、コメントあるいは直接お話し頂けると有難いです。