殺菌と消毒

2005-02-16 | 
立花隆の「文明の逆説」という本の中に
次のような一節がある。

「我々の生活のいたるところ、殺菌と消毒が
氾濫している。
あらゆる食器は殺菌され、電話器や電車の
吊革は定期的に消毒されている。

害虫やバイ菌撲滅が愚行であることも、
次第に明らかになってきている。
無菌動物の研究や、人間の腸内細菌
の研究などから、人間には空気や水が
かけがえのないものであるのと同様に、
バイ菌もかけがえがない環境の一部で
あることがわかってきた。

…敵もまた味方、毒もまた薬というのが
我々の生きている世界で、ここでは敵を
不毛にすることが、我々自身を不毛にする。

人間社会においても
…度が過ぎた消毒は悪い結果を招くだろう。
ナチスのユダヤ人抹殺計画、日本の生類哀れみの令、
アメリカの禁酒法等々、度をすぎた消毒は、
例外なく、体制を守るつもりが体制をつぶし、
悪を根絶するつもりが、悪をはびこらせる
結果に終っている。
社会的にも消毒は不毛につらなるのだ。

社会的な消毒をすすめていくと、いきつく先は、
頭の中身の消毒である。
その結果は、創造性の完全な不毛化である。 」


マスコミ等に踊らされてるのだろうが、ネットの
掲示板などを見ていると、この殺菌と消毒思想に
侵された人が結構たくさんいて驚く。

世の中、国対国、職場内を見回してみると
人間はどうしても快適を求めるあまり、自分と
意見や気持ちの合わない相手を排除しようとする
傾向がある。やはり自己防衛本能が働くのだ。

しかしそれは本当はとても傲慢なことで、行き着く
ところ自分自身を排除することにもつながる。

にもかかわらず、歴史は繰り返す・・・。
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