2020年5月3日~4日
道の駅子守唄の里五木(熊本県)から30分くらいのところに今回の縦走の起点となる久連子の集落はあった。
久連子古代の里にKさんの車をデポして、そこから1キロくらい先にある上福根山登山口に向かった。
登山口にほかの車はない。福寿草が咲く頃はよく耳にする山域だが、それ以外の時季はあまり登山者はいないのかもしれない。
8時55分、準備を整えKさんと2人で登り始めた。今回は、久連子の集落を取り囲む山脈を時計回りに1泊2日で周回する計画だ。
まず目指すのは、久連子岳を経由しての上福根山。標高差1000メートルを登って行く。
久連子岳の直下辺りは登山道が危うい。あまり登山道の整備がされていないのは、やはり登山者が少ないのだろう。
11時45分、上福根山到着。
展望のいい頂上だ。南には明日歩く予定の稜線、その向こうには白髪岳、さらにはその奥には韓国岳も見える。
額からは汗が滴り落ちて、昼食代わりにかじるリンゴの水分が喉を潤す!
一息入れたらさあ次に向けて出発だ。ここまで登ってしまえば、あとは基本的に大きな登りはない稜線歩きだ。
北には久住、南には霧島が見える快適な縦走路だ。タイミングよくミツバツツジとシャクナゲが満開で目を楽しませてくれた。
前福根山、中福根山と小さなアップダウンを繰り返して、13時5分、下福根山に着いた。
ここまで一人の登山者にも会わなかったが、ようやく正面から歩いてくる一人の女性に出会った。若い女性だがその服装はいわゆる普通の登山者の恰好ではない。
話してみると、九州外から来て昨日から洞窟を探して歩いているという。仲間とは別に歩いていて無線機で連絡を取り合っているそうな。これまでにもこの辺には来たことがあって面白い所だと言っていた。その業界の人達には有名な場所なのだろうか。
いやぁ色んな趣味を持つ人がいるものだ。そこからしばらくKさんと洞窟探検は趣味としてありかなしかの話で盛り上がった。
13時30分、北山犬切に到着。
露出した石灰岩が山頂になっていてカッコいいピークだ。ここもまた展望が素晴らしい。
今回の縦走は天気が良いこともあって各ピークで腰を下ろしてゆっくり休憩しながら進んだ。こんなゆったりした山歩きもいいものだ。
これで今日のピークハントは終わり。あとはテント場を目指すだけだ。
アンドウゴヤ谷に向けて下って行く。
木々の葉っぱの緑、苔の緑、バイケイソウの群落の緑が日に照らされてとてもいい雰囲気だ。
それなのに訪れる登山者がいないのは登山口までのアクセスが悪いせいだからだろうか。
廃道と化した林道を下って行くと、その道は一昨年人吉球磨地方を襲った豪雨でさらに崩壊が進んでいた。
突然前方で犬が一吠え、二吠えしたので驚いて見ると、2匹が立ち止まってこちらを直視している。こっちも立ち止まって直視する。
Kさんがゆっくり間合いを詰めると犬もゆっくりこちらに歩いて来た。どうやらおとなしい犬のようだ。よかった・・・
でもどうしてこんな山奥に犬だけが。2匹の犬は我々の横を通り抜け、我々が下って来た廃道をとぼとぼと登って行った。
なんか不思議だ。そういえばここの山は山犬切(やまいんぎり)という山名だったよな。
14時40分、アンドウゴヤ谷に着いた。沢を遡上しながらよさげな宿営地を探す。10分ほど歩いていい場所が見つかった。今日はここまでだ。
さてまずはテントを建てようか。ポールを引っ張り出すと、なんと違うテントのポールを持ってきてるではないか! やっちまった
Kさんに細引きを借りて、どうにか顔の辺りだけは空間を保てるくらいの寝床ができた。
多分、雨は降らないだろうからこれで大丈夫だろう。
寝床ができたらやることないのでビールをプシュッ♪
ザックを軽量化するために担ぎ上げた食料を全部差し出した(笑)
最後はいつものパスタで締めて腹いっぱい。
腹が満たされたところで、それぞれテントに引っ込んだ。細引きで応急処置したテントは出入口にフライシートが被さっていないのでメッシュ越しに外が丸見えだ。あまり気持ちいいものではないな。
いつの間にか寝落ちしていた。
気持ちよく目覚めた。ただいつものテント泊のときのパターンだと、まだ夜中の12時とか1時とかに違いない。そう思って時計を見るとまだ21時半じゃないか! 驚いた
Kさんも起きたようで(ずっと起きてた?)、二言、三言会話して再び眠りに落ちた。
2日目の朝
明け方は気温1℃~2℃。メッシュ1枚はさすがに寒かった。
6時50分出発。
谷をつめて行くとさらによさげなテント場があった。というかどこにテントを張ってもいい所だらけの素晴らしい谷だ。
10分ほど歩いたところで谷から離れて尾根に取り付いた。今日歩く稜線を目指して登って行く。
この辺りはヤマシャクヤクが群生していた。ただ不思議と、花はつぼみか花びらが落ちたのばかり。丁度いい具合に咲いているものがない。
水上越まで登るとまた展望がよくきいた。白髪岳とその奥は韓国岳だろう。肉眼ではうっすらと高千穂峰も見えた。
ここからはずっと稜線歩きだ。開けた稜線を七遍巡り、南山犬切、石楠山と進ん行く。登山道は明瞭でないところが多く、その上尾根がだだっ広いものだからGPS頼りだ。
石楠越を過ぎると、これまでと山の雰囲気が変わって馬酔木(アセビ)がうるさい登山道になった。時折、馬酔木の中を藪漕ぎして進んだ。
前方から年配の男性一人が歩いて来た。見た感じ70歳くらいだろうか。我々が下山する予定の積岩山登山口から登って来たらしい。そして今日中に上福根山まで行って下山するつもりだという。ビバーク覚悟だとは言っていたがなんて元気なことだろう。「老人パワーで頑張ります!」と言って進んで行かれた。
その後、もう一組我々とは逆回りで縦走するという御夫婦と出会った。今回の山行で出会ったのは3組の人と1組の犬だけだった。
市房山
10時、鷹巣山に到着。たいした登りはないつもりでいたが2日目なこともあって小さな登りが堪えた。
10時50分、蕨野山
11時15分、積岩山。今回の最後のピークだ。
順調にここまで来た。ここまでは・・・
あとは下山口まで下るだけだ。と言っても標高差800メートルあるから足痛くなるだろうな・・・
岩茸越まで戻って国土地理院の地図に載っている登山道を探した。しかし見つからない。Kさんが見ているYAMAPの地図だともう少し東に進んだ所に登山道を示す赤線が引かれているみたいだ。まあこの辺りから下って行けば国土地理院地図の登山道に出くわすだろう。そう言って登山道のない斜面を下り始めた。
GPSの軌跡では間違いなく登山道の上にいるはずだが、いくら歩いても全く登山道らしきものが見当たらない。
地図が間違っている? まあそれでも下って行けば大丈夫だろうと急な斜面を下って行くと水が流れる谷に出た。
「この谷を下って行けばいいな」そう思って下流に目を向けると滝だ! 万事休す。こうやって人は遭難するんだろうな。
幸いGPSで現在地は分かっていたのでKさんと相談し、谷を横断してYAMAPが示す登山道がある尾根まで泥壁を登り返すことにした。
落ちたら絶体絶命の斜面を木の根を掴みながら必死に登り上がった。沢登りの高巻きと一緒じゃないか。
登山道を示すテープが見えた! ふぅ危なかった。まさか最後にこんなオチがあるとは。
YAMAPの登山道も明瞭ではなく、特に下の方は一昨年の豪雨で山そのものが押し流されていた。
やがて舗装された道に出て13時15分、久連子古代の里に戻り着いた。
最後、少々冷や汗をかいが無事に2日間の山旅を終えることができた。
何処にテントを貼っても気持ち良さそうな場所も多くて良いですね!
いつか連れてって下さい、今は歩ける自信がないですが(汗)
素晴らしい場所です♪
近くならすぐにでも一緒に行きたいですけど。
そちらからだと登山口からテン泊地まで歩いて行くことより車で登山口に到着までので方が苦労するかもしれません。