4月29日(月・祝)
朝、目覚めると、辺りは一面真っ白いガスに覆われていた。かろうじてまだ雨は降っていない。でも降ってくるのは時間の問題だね。
今日は笹ヶ峰の下にある丸山荘までの予定。当初は笹ヶ峰を越えて銅山峰ヒュッテまで行ければとも考えていたけど、昨日の疲れ具合と今日の天気を見てそれは諦めた。
それともう一つ。今夜の宿泊をテント泊にするか丸山荘泊にするか。雨の中のテント泊は面倒だけど、せっかくテントを担いできたのに宿代を払うのも勿体ないしね・・・
到着した時点で素泊まり料金4千円を惜しいと思うかどうかで決めようってことになった。
我々と同じく丸山荘まで行くという1階にいた男女は5時頃小屋を出て行った。我々は5時40分出発。
30分ほど登って瓶ヶ森に到着。さすがに足は筋肉痛だけど疲労感はそれほど残っていない。
とうとう小雨が降ってきた。風もそこそこ強い。
今日1つ目のピーク、瓶ヶ森。周囲は何も見えない。この日は終日こんな状態だった。
次第に雨、風ともに強くなってきて、西黒森のピークは踏まずに先に進んだ。
7時55分、歩き始めて2時間ちょっと。休憩なしでここまで歩いて来た。というか強風を遮るよう場所がなく、立ち止まると急激に体温が下がってしまうから休憩もできない。この後もしばらく休憩なしで歩き続けた。
8時13分、東黒森。
正直、この日はどこのピークに立っても特に感動はない。なんせどこも一面真っ白なので。
歩いてる最中も視界は50~80メートルで、その視界の中に見えるのはいつも笹っぱらだけ。ずっと変わり映えしない単調な景色が続く。
雨、風に打たれて、正しく修行の行進となった。
9時10分、伊予富士。ほとんど会話することなくここまでやって来た。手はかじかんで痛いし、結構疲れも溜まってきた。
この時点で、今夜はテント泊はしない!と決まった。(ツラすぎて、テント泊なんかできない)
むしろ、ここまで良いペースで歩いてきてるし、一気に山を下りてしまうのもありかなとも考えたりしてた。
伊予富士を下ったところで、ようやく風をしのげる樹林帯があったので休憩。歩き始めから約4時間ぶっ通しで歩いて来た。
ここでKさんが「もし西条市に住んでいる友達が寒風山トンネルまで迎えに来てくれるならそこで下りますか?」と。
「いいですよ」即答した。
友達に電話すると、残念ながら今日は仕事だという。気持ちが折れ切っていた我々の目論見は無残に崩れてしまった。
寒風山への登りに差し掛かる桑瀬峠。ここから寒風山の山頂まで標高差300メートルの登り。ここから先が今日の本当の核心となった。
横から殴りつける風雨で体温は下がり、一歩一歩踏み出す足がとても重い。ときどき吹き抜ける瞬間的な暴風に体がよろめいた。
体力にはそこそこ自身がある2人だからいいけども、もし中に弱い人がいて、もう歩けないてなったら大変なことになるなと思った。
11時25分、寒風山。ようやくここまで来た。残すは笹ヶ峰のみ、コースタイムだとあと1時間半だ。
笹ヶ峰に行く途中、正午を過ぎて腹も減った。もうすぐだと分かっていてもたまらず休憩を取ってザックを下して座り込んだ。ザックの重みで肩の痛みが我慢できないのもあった。もう修行を通り越して苦行だ。
丸山荘から笹ヶ峰に続く登山道に出た。右に登れば笹ヶ峰の山頂、左に下れば丸山荘。我々は迷わず左の下り道を選んだ。とても右の道を登って行こうという気力はなかった。どうせ山頂に行っても真っ白だしね。
丸山荘は笹ヶ峰のすぐ下にあると思っていたのに、ここから35分もかかった。長かった。
13時40分、ヘロヘロになってようやく丸山荘に着いた! 行動時間8時間、距離16km
玄関を入り声を掛けると、奥から老夫婦が出てきた。
「予約なしですけど、素泊まりできますか?」
「素泊まりなりならええよ」
感じの良いお二人が手際よく部屋に通して準備をしてくれた。
すでに沸いていた風呂に入り、乾いた服に着替えて、ラーメンを食べたら、ようやく落ち着いた。
部屋はお世辞にも綺麗とは言えないけれど、今の我々には今朝案じていた4千円が安いとさえ思える居心地だった。
部屋に暖房器具はないから、寒いことは寒い。とりあえず布団に入って昼寝しようとしていたら、御主人が豆炭あんかを持ってきてくれた。
あったけえー 夕方までぐっすり眠って生気を取り戻した。
目覚めると、外は到着したときよりもさらに激しく雨・風が吹き荒れていた。
小生も、出かけたいのですが、この所、何年も山には機会がありません。
井頭山人さんも機会を見つけて、またぜひ。