若竹屋酒造場&巨峰ワイナリー 一献一会 (十四代目日記)

何が酒の味を決めるのか。それは、誰と飲むかだと私は思います。酌み交わす一献はたった一度の人間味との出逢いかもしれません。

サーカスのライオン 絵本

2005年01月09日 | 読んでる十四代目
サーカスのライオン

ポプラ社

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僕は絵本も大好きです。
今考えると、僕の活字好きは幼い頃に母が読み聴かせてくれた絵本に端を発しているのでしょう。その時代にせがんで読んでもらった絵本たちが今、手元にあったらとても幸せなのに。そう思って最近少しづつ、記憶を辿りながら題名を忘れた絵本を探し買い集めています。

「サーカスのライオン」は僕が幼い頃に読んだものではありません。僕の子供たちが町の図書館から借りてきたものでした。読み進めるうちに涙が溢れ、何度も言葉に詰まってしまい、そんな僕に何か不安でも感じたのか子供たちまで泣き出してしまいました。

 サーカスのライオン「じんざ」は老いて少し疲れています。
 ある日じんざは、
 サーカスが好き、なかでもライオンが好きなんだ、という少年と出会います。
 じんざは少年の言葉に励まされます。それから毎日ステージ裏を訪ねてくる少年。
 おこづかいが貯まったから明日はライオンの火の輪くぐりを見に来るよ、と少年。
 じんざの身体に力が沸いてきます。
 ようし、明日は若い時のように火の輪を五つにしてくぐってやろう。
 その夜更け、消防車のサイレンの音が、少年の家のほうから聞こえて来ます。
 じんざは檻を破り少年のアパートへ駆けて行く。
 ごうごうと燃えるアパート。
 アパートに取り残された少年。
 火の輪をくぐる勢いでアパートへ飛び込むじんざ。
 じんざの力で少年は助け出されます。しかし、じんざは…。
 次の日、サーカスでライオンの曲芸は寂しかった。
 五つの火の輪は燃えていたけれど、くぐりぬけるライオンがいないから。
 それでもお客は一生懸命に手を叩いた。
 ライオンのじんざがどうして帰って来なかったかを、
 みんな知っていたから。

人はなぜ涙を流すのか。自分が色んな意味の涙を流すようになって分るようになる。成長した子供たちがいつかまたこの絵本を読んだときに、ほろほろと涙を流してくれたらいいなあと思うのです。