©Taylor Davis
岡に来て両腕(もろうで)に白い帆を張れば風はさかんな海賊のうた
―― 齋藤 史
―― 齋藤 史
ツリーハウスを吹き抜けていく
強く心地いい風が
思い出させてくれた歌。
「風はさかんな 海賊のうた」って
一気に
真夏や海や空やカモメや真っ白い雲なんかを
連れてくるフレーズで
わくわくする。
見晴らしのいい丘にあがって
胸を張り
両腕を思いっきり広げて
全身で風を感じる。
風をはらんだシャツが
船の帆のように
ばたばたと乱暴にはためく。
ああ
風はまるで
広い海原をゆく海賊のうたを
歌っているようだ。
風はさかんな 海賊のうた
岡に来て両腕に白い帆を張れば風はさかんな海賊のうた
読んだ瞬間にもう、
丘のうえにワープして
風に向かって両腕を広げている。
海賊のうたが聞こえてくる。
たった31文字なのに
こんなにも強烈にイメージを与える。
心地いい解放感や高揚感を呼び起こす。
なんてパワフルな短歌なんだろう。
齋藤 史は、
大正生まれで昭和を代表する歌人。
波乱万丈の人生を
鮮やかに生き抜いた彼女の歌は
わたしの心に強く響きます。
画像はと言うと
ヴァイオリニスト、Taylor Davisの
ミュージックビデオからキャプチャーしたもの。
とても気持ちがいい映像と音楽。
おススメです。
He's a Pirate - 彼こそが海賊 -
この映像を見たときも
齋藤 史の、この歌が思い出された。
風はさかんな 海賊のうた、と。
国もジャンルも、なにもかもすべて違うのに。
岡に来て両腕(もろうで)に白い帆を張れば風はさかんな海賊のうた
―― 齋藤 史
―― 齋藤 史
©Taylor Davis
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