あちこちで
金木犀の花が咲きはじめていますね。
ふわり…と
なつかしいような
切ないような香りを放って。
甘い香りが
遠くまで届くことから、
金木犀はかつて
「千里香」とも呼ばれていたのだとか。
美しいその姿は見えなくても
どこからともなく香りだけは届いて
ふんわりと柔らかく
呼ぶように
微笑むように。
香りに誘われて
その姿を求めてそぞろ歩くとき、
「千里先まで香る」という意味の古い名前を思い出します。
オレンジ色の
愛らしい小花をたわわに咲かせて
風にたゆたい、
日差しを受けて金色に輝いている姿には
「金木犀」という馴染み深い名前が
よく似合っていて。
秋の
静かな庭で
金色にさざめいている。
実家の木は、六、七分咲きくらい。
それでもいまや庭中、
窓を開けている昼間は家中、
金木犀の香りで満たされています。
お風呂場の窓を
ほんの少し開けておくと
バスタイムも金木犀の香りとともに。
ぜいたくです。
家の東側に植わっていて
表の庭からは
屋根の向こうにこんもり茂っているのが見えます。
宅急便の配達やお米屋さんなどが
立派ですね~すごい香りですね~と言ってくれたり。
そうした方には一枝差し上げたりしています。
水に挿せないので萎れてしまうけど
その日くらいは
配達の車のなかが金木犀の香りになると思うのです。
ふわっと優しく
甘い香りが、心を和ませてくれる。
秋、ですね。
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