ブラシの木も
今年はなんだか咲き急いでいて
ふしぎな形の
真っ赤な花をたくさん咲かせて
ミツバチを呼んでいた。
後ろ足に
花粉だんごをくっつけて
朗らかな羽音をたて
ぶんぶんと
あっちへ行ったり
こっちへ来たり。
ミツバチって情熱的。
赤い花も
やっぱり情熱的で。
上手くいかないことがあって
切なくて悔しくて
泣きながらあれこれ訴えていたときに
「幸せだな」って言われて
むっとしたことがある。
ひとがこんなに泣いてるのに
幸せってなに!?
そんなに必死になれるもの
情熱を燃やすものがあるんだから
幸せだよ
情熱を燃やすものがあるんだから
幸せだよ
と、真っすぐに見つめられて
はっとした。
はっとした。
うん そうだねと
泣きながら笑ってた。
水の底を
漂っているような
静けさで
情熱は
いまは遠いけれど
赤い花と
ミツバチを見ていたら
そんなことを
ぼんやりと思い出しました。
雨の日の
ブラシの木
この方が心に届きます。
雨粒みたいに
すうっと沁みて、くるのです。
・