水にたゆたう

herbarium（ハーバリウム）

研究用に乾燥させた植物標本の集積。

「集積」だから「標本集」とか、「標本室」とか

みんなこの単語が使われる。

でも最近は観賞用に

ミネラルオイルにドライフラワーを漬けた 

ガラス瓶入りの美しい花の総称にもなっている。

いずれにしても、"ハーバリウム"

響きがいい。

プリザーブドフラワーもステキだけど

「水のなかで花がたゆたう」

というところが

ものすごく、わたし好み。

正しくは「水」ではなく

高純度に精製された鉱物油で、

傾けると、少し とろっとしている感じがする。

いただいたときにも

うれしくて写真を載せたはずなんだけど

ふと目に留まったら

あまりに美しかったので、再び。

ガラス瓶に閉じ込められた本物の花。 

透き通った花びらに浮かぶ葉脈の美しさ。

どこまでも繊細に、

優美なラインを描いている。

なんてきれい。

花たちは

水のなかで

ゆったりとやさしくたゆたい、
光の加減によって

微妙なニュアンスでその表情を変える。

穏やかであったり

淋しそうであったり

物憂げであったり

なつかしそうであったり

ときに囁くように

ときに微笑むように

ときに歌うように

ときには涙するように

水にたゆたい、光にたゆたう。

…ああ、

光の加減というより

眺めるわたしの気持ちを

写しとっているだけなのかもしれない。

・