掛軸は床の間に飾るもの、と考えるのは昔の話になりつつあります。
現代の一般的な住居では洋室のリビングに飾ったり、寝室に飾ったり、
自由に楽しむ方も増えてきたのではないでしょうか。
海外の方なら尚更もっと自由にhanging scrollをいろんな場所に飾って愉しまれています。
ただ掛軸は、年中ずっと飾っておくのは、よろしくありません。
長く掛けっぱなしにすると、作品の劣化につながります。
例えば
・作品に埃がつく
・作品が焼ける(紫外線による劣化)
・裂地、特に正絹には重みがあるため、たわんでしまったり、痛んでしまう
お着物をハンガーにかけたままだと、裾の部分が袋になる(たわむ)のと同じことです
今も昔も変わらずに
掛軸を長い年月楽しむには『季節ごとに掛け替える』ことでしょうか。
これは着物をお召しになる方なら深く納得することと思いますが、
日本の文化は季節に合わせて生活様式も変化させる愉しみがあります。
大きな括りで言えば6月になれば裏地のある袷の着物は仕舞って、
裏地のない単衣の着物をお召しになるように。
掛軸も衣替えのように、まめに掛け替えて愉しむのが、
長い年月を良い状態で保存させるコツです。
掛軸にはその両端に耳折(みみおり)という部分があり、
これがあるが故に巻いた時に、作品が擦れ合わずに、
さらに内部を密閉空間にして作品の劣化を防いでくれます。
きちんと保管されれば、何100年も長く美しい状態であるのはその特性ゆえです。
掛軸は機能的にも、装飾的にも大変すぐれたものなのです。
ちなみに下の画像は月岡雪鼎(1726〜87)の『藤娘図』(ミネアポリス美術館所蔵)
18世紀のものです。
さて。
着物をまとうように表装する『墨美神®︎きもの掛軸』は
樋口鳳香が自ら手掛けた表装を含めた作品です。
6/7(月)から開催の【私の中の太宰治展】にてお披露目となります。
今回は特別に5点、ご用意いたしました。
どうぞよろしくお願い致します。
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