スペインの画家、ジョアン・フランシスコ・カサスさん(34歳)は、冗談ではじめた試みで思わぬ成果を上げることとなった。彼が試みたことというのは、ボールペンで絵を描くことだ。彼はふざけて油絵の大会に、ボールペン画で出品したのだが、これが意外にも好評を得て、のちに世界中で彼の作品が売れるようになったそうだ。
事の発端は2004年に遡る。その当時、友人と写真を模写しながら他愛のない話をしていたのだが、絵の技術は素材に依存しないという結論に至ったようだ。つまり、腕が確かなら油絵だろうが鉛筆画だろうが、その実力は誰にでも伝わるものだと考えた。そこでボールペン画に挑むことにしたのである。
彼はさらに、スペインのナショナル・アート・コンペティションに、ボールペンで描いた作品を出品した。この大会は、提出される作品のほとんどが油絵である。したがって、彼は自分の作品は絶対に落ちるだろうと踏んでいた。ふざけ半分に作品を提出したのだが、これが高く評価される結果を得て、それ以来ボールペン画に没頭したのだ。
現在、彼の絵が世界中の画廊で取り扱われるようになり、作品は数十万円で買われているそうだ。ちなみに彼は1つの作品を仕上げるために、約2週間をかけ平均14本のボールペンを使うとのことである。
冗談とはいえ、これだけの優れた作品を描き上げるだから、彼にはもともと才能があったといえるだろう