2015年2月4日に、台湾で起きた復興航空(トランスアジア)GE235便の事故。離陸直後に何らかのトラブルが発生し、市街地を流れる川に向かって墜落した。車載カメラにより偶然とらえられた映像をご覧になった方もいらっしゃるだろう。
現在も救助活動が続くと同時に、事故原因の調査が始まっているが、早くも台湾メディアが離陸から事故までの再現映像を公開している。
・事故直前の再現映像
この再現動画は台湾メディア『Apple Daily』が公開したものだ。その動画によると事故直前には、機内で以下のようなことが起こっていたと考えられるそうだ。
(10時52分00) 金門島に向かって、台北松山空港を離陸。
(10時52分15) エンジンの動力不足により、機内が大きく揺れる。機体を上昇させることができなくなる。
(10時53分15) 航路から外れることを決断。
(10時53分45) 3度、人口密集地の回避を試みる。
(10時54分00) 救難信号を発信。
(10時54分30) 機体がコントロールを失う。
(10時55分00) 機体はほぼ90度にかたむき、高速道路をかすめて基隆河に墜落。
・機長からエンジン停止を訴える声
動画にも収められているが、機長が「mayday、mayday(メーデー、メーデー)」と、救難信号を発した際、「engine flameout(エンジン停止)」と、発信していたことが明らかに。各メディアもエンジン故障説が有力だと報じている。
・人口密集地を避けての判断か
しかし、詳しい原因は現在究明中だ。離陸前に、エンジントラブルがあったところ強行出発したという説も出ているが、それは復興航空サイドが否定している。
また、GE235が航路を離れ、基隆河へ向かったのは、機長が緊急着陸を試みつつ、人口密集地を避け、万が一の場合の被害を最小限に抑えるためだったのではないかという見方が強い。元アメリカ連邦航空局監査官デイビット・スーシー氏や元運輸省監査官のメアリー・シアボ氏も「機長は被害を最小限に抑えるために力を尽くした」との旨をコメントしているとのこと。
もし川ではなく、付近の市街地に墜落していたら10万人は被害に遭っていたという試算もあるそうだ。
2月5日現在、乗客乗員58名のうち31名が亡くなり、いまだ11名が行方不明という今回の痛ましい事故。亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、生存者の1日も早い回復を、そしてこのような事故が二度と起こらないよう切に願いたい