明日また陽が昇るなら −カウンセラーもり あずさ(もるも)のブログ−

一番大事なもの -大河ドラマ「いだてん」より-

いだてん、日曜日の回で主人公が完全に交代しましたね。

 

金栗四三が兄の死を機に、潮時を感じて熊本に戻ることを決める。

 

それ自体はよくあるエピソードですが、ここで新旧交代をはっきりさせるのがクドカン演出。

 

世代交代の象徴となった体育協会の事務所で、四三は阿部サダヲ演じる田畑政治と出会います。

 

そして、これから始めてオリンピックに帯同することになった田畑にこう問われます。

 

「あなたは3回もオリンピックに行ったんだよね?一番思い出に残っているのはどれ?

どんなシーン?」

 

ここで金栗はどう答えるんだろう?と思いましたが、なんと彼の答えはこうでした。

 

「紅茶と甘いお菓子が美味しかった・・・」

 

当然話は通じず、田畑は話を続けるのを止めてしまいました。

 

でも、オリンピックに始めて出た人がいるから今の自分達がある。

 

その自覚ははっきり持っていましたし、金栗へもその思いを伝えていましたね。

 

でも、第一部を観てきた人たちにはよくわかります。

 

自分が出場する試合で熱中症になり、意識が朦朧とする中で入り込んだ民家の庭。

 

そこで倒れ込んだ自分に、民家の人たちが紅茶とお菓子を振舞ってくれた。

 

その時金栗は、自分が生きていること、そして人の優しさ・温かさをはっきりと感じたはずです。

 

その後の金栗は、自分に期待を掛けた日本・家族への申し訳なさを存分に感じ、そして吹っ切り、

二度のオリンピックへの挑戦、駅伝の立ち上げ、女子体育の普及活動など精力的に活動を行います。

 

それらをやり切ったからこそ、潮時を感じたらすっぱりと身を引ける。

 

そして、そんな歴史を頭で知ってはいるけど体感はしていない、これからの男、田畑政治。

 

だからこそ、相手の苦労を慮らずに言いたいことを言い、やりたいことがやれる。

 

二人の世代交代を象徴する、静かだけどダイナミックなシーンでした。

 

個人的には、弾丸のようにまくし立ててくる田畑より無骨にやりたいことをやり続ける

四三の生き方が好きですが、結論としては「どちらのタイプも世の中には必要」ということで。

 

美しいオチがつきましたので、この辺りでお開きにいたします。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

明日こそは晴れ空が見たいですね!

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