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「私は感情ない人形」父親が娘に性的暴行 準強制性交等罪 逆転有罪

2020年03月13日 | 社会
父から性暴力「私は感情ない人形」泣けることだけが救い


当時19歳の娘に性的暴行をしたとして、準強制性交等罪に問われた父親(50)に対する控訴審判決。名古屋高裁は12日、一審の無罪判決を破棄し、父親に懲役10年の有罪判決を言い渡した。判決後、被害者がコメントを発表。性暴力に耐えていた当時の心境を「次第に私の感情もなくなって、まるで人形のようでした」とつづった。全文(原文のまま)は以下の通り。

今日の名古屋高等裁判所の判決を受けて(令和2年3月12日)
 1.私は、実の父親からこのような被害を受けてとても悔しい気持ちでいっぱいです。
 「逃げようと思えば逃げられたんじゃないか。もっと早くに助けを求めたらこんな思いを長い間しなくて良かったんじゃないか…」。そう周りに言われもしたし、そのように思われていたのはわかっています。
 でも、どうしてもそれができなかった一番の理由は、幼少期に暴力を振るわれたからです。
 「だれかに相談したい」、「やめてもらいたい」と考えるようになったときもありました。そのことを友達に相談して友達から嫌われるのも嫌だったし、警察に行くことで弟達がこの先苦労するのではないかと思うと、とても怖くてじっと堪え続けるしかありませんでした。
 次第に私の感情もなくなって、まるで人形のようでした。
 被害を受けるたび、私は決まって泣きました。「私にはまだ泣ける感情が残っている」ということ、それだけが唯一の救いでした。
 私が一人っ子だったら、何も迷わずにもっと早くに訴えられていたかもしれません。やっぱり大切な弟たちのことが心配だったのです。
 そんな弟たちと離れなくてはいけなくなること、生活が大変になるかもしれないこと、ただそれだけを考えると、嫌でも仕方なくてじっと我慢するしかできませんでした。
 今も弟たちに会いたい。話したい。その気持ちでいっぱいです。今も会えないのは苦しいです。
 2.二度と会いたくないのは、父親です。あの人が私の人生をぶち壊したんです。
 返してください。私のこの無意味に空費した時間を!気に病んだ時間を!全部返してください。やってみたかったこと、本当はいっぱいありました。でも全部諦めました。
 今、すべてのことを振り返ってみると、ひたすら悔しい気持ちです。父との毎日は非常識であり、ただただ気持ち悪かったです。どうしたらあんなことができるのか、わかりません。
 私たちはただ普通に暮らしたいのです。暴力も暴行も、無慈悲な言動のない普通の生活がしたいんです。もう二度とこんな思いはしたくありません。
 これから私は無駄にしてしまった時間を精一杯埋めていきたいので、邪魔しないでもらいたいです。私は父を許すことは絶対にできません。
 不安と苛立ちに押しつぶされそうな苦しい毎日でした。そして今も同じです。私や弟たちの前に二度と姿を現さないでほしいです。
 3.無罪判決が出たときには、取り乱しました。荒れまくりました。仕事にも行けなくなりました。今日の判決が出て、やっと少しホッとできるような気持ちです。
 昨年、性犯罪についての無罪判決が全国で相次ぎ、#MeToo(ミートゥー)運動やフラワー・デモが広がりました。それらの活動を見聞きすると、今回の私の訴えは、意味があったと思えています。なかなか性被害は言い出しにくいけど、言葉にできた人、それに続けて「私も」「私も」と言いだせる人が出てきました。私の訴えでた苦しみも意味のある行動となったと思えています。
 4.私が訴え出て、行動に移すまでにいろいろな支援者につながりました。しかし、「本当にこんなことがあるの?」と信じてくれる人は少なかったです。失望しました。疑わずに信じてほしかったです。
 支援者の皆さん、どうか子どもの言うことをまず100%信じて聞いてほしいのです。今日、ここにつながるまでに、私は多くの傷つき体験を味わいました。信じてもらえないつらさです。子どもの訴えに静かに、真剣に耳を傾けてください。そうでないと、頑張って一歩踏み出しても、意味がなくなってしまいます。子どもの無力感をどうか救ってください。私の経験した、信じてもらえないつらさを、これから救いを求めてくる子どもたちにはどうか味わってほしくありません。
 5.私は、幸いにも、やっと守ってくれる、寄り添ってくれる大人に出会えました。同じような経験をした多くの人は、道を踏み外してもおかしくないと思います。苦難を生きる子どもにどうか並走してくれる大人がいてほしいです。
 最後に、あの時の自分と今なお被害で苦しんでいる子どもに声をかけるとしたら、「勇気を持って一歩踏み出して欲しい」と伝えたいです。一人でもいいから、本当に信用できる友達を持つことも大切だと思います。
以上

(2020年3月12日 朝日新聞)



娘に性的暴行、父親に逆転有罪 懲役10年 名古屋高裁

愛知県で2017年、当時19歳の実の娘に性的暴行をしたとして、準強制性交等罪に問われた被告の父親(50)の控訴審判決が12日、名古屋高裁であった。堀内満裁判長は「被害女性は当時、抵抗することが困難な状態だった」として、一審・名古屋地裁岡崎支部の無罪判決を破棄し、父親に求刑通り懲役10年を言い渡した。
 争点となったのは、女性が事件当時、身体的、心理的に抵抗することが著しく困難な「抗拒(こうきょ)不能」の状態だったかどうか。準強制性交等罪の成立要件の一つだ。
 一審判決は、父親は女性が小学生の頃から虐待し、中学2年生の頃に性的虐待を始めたことなどから、女性に性行為の同意はなく、長年の虐待で父親の精神的支配下に置かれていたと認めた。その一方で、過去に拒めたことがあったなどとして、抗拒不能の状態だったと認定するには合理的な疑いが残ると判断していた。
 この日の高裁判決は、女性が性行為を拒んだ時にあざができるほどの暴行を受けたことなどを挙げ、「一審判決が抗拒不能状態を否定した事情は、むしろ肯定する事情となり得る」などと指摘。一審判決について「父親が実の子に対し、継続的に行った性的虐待の一環だという実態を十分に評価していない」と批判した。
 量刑理由では、父親に対し、「実の娘を性欲のはけ口としてもてあそんだ卑劣な犯行」と指摘。「被害者が受けた苦痛は加害者が、実の父親であることからも極めて甚大で深刻」と述べた。
 控訴審で検察側は、一審判決後に女性を精神鑑定した精神科医の証言を新たな証拠として提出。「父親から受けた長年の性的虐待で抵抗する意思・意欲を喪失していた」と主張していた。弁護側は、控訴審での精神鑑定について「信用性に欠ける」などと主張し、控訴棄却を求めていた。
 判決によると、父親は17年8~9月、県内のホテルなどで2度、長年の虐待により抵抗できない精神状態だった女性に性的暴行をした。
 判決後、被害女性は「実の父親からこのような被害を受けて悔しい気持ちでいっぱいです。父を許すことは絶対にできません」とコメントした。
〈抗拒不能〉 身体的または心理的に抵抗することが著しく困難な状態。準強制性交等罪は、性行為への同意がなく、「心神喪失もしくは抗拒不能」により抵抗できなかった状態であることが成立要件となる。抗拒不能は「薬や酒を飲まされて意識を失った」「だまされ信じ込まされた」など、暴行や脅迫がなくても、それらがあったときと同じように体や心の自由を奪われた場合に認められる。

(2020年3月12日 朝日新聞)




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