今後、いかなる国家的危機が発生するにしても、アベという人物が総理大臣である事時代が行政府の長としての対処能力のなさから、危機の上塗りをしているという事を考えなくてはならない。
甲府盆地で豪雪の折に、国道20号線では多数の凍死者が出たが、アベは赤坂の高級料理店で優雅に食事をしていたのである。
この点だけでも責められてしかるべきだが、話題になったのはSNS界隈と一部のメディア(ラジオ)だけである。ある意味、社会の木鐸としての報道は機能していないと看做すべきであり、人民のダマスコミ依存もアベ一凶体制の継続と等しく日本社会にとって危険なのである。
福島第一原発の折には天の配剤というべく菅直人氏が首相であり、東工大出身者で原子炉内残留熱を理解する素養があり、なおかつ「イラ菅」と異名を取る叱責力を持って東京電力の撤退を防いだ。
これがアベが首相だったらどうなったのであろうか?福島第一原発も福島第二原発も東海第二原発も放棄となれば、首都圏や東日本の放棄というだけでは済まない状態となったであろう。
そのアベがアメリカの尻馬にのって北朝鮮に対して「あらゆる手段で最大限の圧力」と国連の場で述べている。アメリカ側はその言葉の背後には「日本政府は戦争によって発生する日韓の被害は仕方がないと了承している」と認識している。
北朝鮮側は日本に対して「(韓国よりも)もっと話にならない。わが国を先頭に立って非難し、わが国への制裁を強化している日本に、拉致問題の解決うんぬんを言う資格などない」(1)と述べている。
アベにも日本人民にも水爆攻撃による数百万、もしくは一千数百万と言われる死傷者と致命的な社会設備の破壊が発生することを微塵も想像していない。数百万人の犠牲に対するコンセンサスもないのに、とにかく、北朝鮮に圧力をかければ良い、という非常に安直な認識しか持ち合わせていない。
マッハ5で地表に到達するミサイルを100%迎撃するのは不可能であり、しかもJアラートが鳴る前にミサイルが着弾している可能性が高い。
というのも、一連のミサイル実験は北朝鮮側から事前に国連機関に通報がなされていた、との証言もあり、日頃私邸にいるアベがミサイル実験の日には首相公邸に宿泊しているにも、事前に情報を得ていたからだとされる。打ち上げる時間や着弾ポイントまで事前に知っているからJアラートが発令できるのであって、むしろ、止める必要もない電車まで止めて、経済活動を停滞させているのだから、自爆的対応を行ったと考えることも出来る。
防空訓練と称して地面にしゃがみ込むような事を行っているが、防空警報前に着弾しているのだから、全く役に立たない。
1950年代のアメリカのように、「ピカッと光ったら机の下や地面に伏せる」という訓練の方がまだ現実に即している。
日本には防空壕のようなものはないし、地下に入れといっても、殆どの家に地下室がない。おまけに放射能防護に関する知識を意図的に与えていない節すらある。
米国要人の発言から読み解くと、米朝戦争の発生確率は15%~50%である。自衛隊は戦争のシミュレーションをやっているが、日本政府は戦争を前提としての被害想定を出していない。一方で中国政府は難民の収容所を北朝鮮国境沿いに5つも作っている。
日米地位協定によって、米朝間が戦争に突入した場合、日本の自衛隊は米軍の指揮下に入る。日本だけは地位協定で軍事的主権をアメリカに委ねている世界で唯一の国なのである。戦争状態に突入した場合、アベの手を離れて軍事行為が行われるので、むしろまだ良策だと考えることも出来るが、米軍は自軍の被害を最小限にするために、自衛隊がもっとも苛烈な戦地に投入される可能性が高いと考えられる。
2018年2月に予定されている平昌オリンピックの翌3月に米韓軍事演習が控えている。米国は大気圏再突入可能なICBMの配備が2018年春と考えている。よって、2018年3月に開戦すると考える人もいる。ところが、米国側は北京オリンピックやソチオリンピックで軍事行動にでた前歴があるので、平昌五輪の最中でも戦端が開かれる可能性が否定できない。
ロシアがシリアを援助して、シリア戦争は平定されつつあり、中東(シリア・トルコ・サウジアラビア)や北アフリカ(エジプト・リビア・チュニジア)までもがロシアの勢力圏に入りつつ有る。そのロシアと北朝鮮は比較的良好な関係にあるので、米国が開戦に踏み切るのは難しいという考えかたも出来る。
米政府内では米本土へ到達し、大気圏再突入が可能なICBMが完成するまえに、北朝鮮を叩き、その際に韓国や日本で被害が出ても仕方ないと考えている。トランプ大統領自身も日韓の被害を許容する発言を行っている。
かといって、北朝鮮が保有する核ミサイルがどこにあるのか米国は把握していない。地下に隠しているので、分からないのだ。静止衛星は高度の高さから識別能力に限界がある。低軌道の衛星は周回軌道で巡っているので一定箇所の常時監視は不可能である。偵察機を飛ばしても地対空ミサイルで迎撃されてしまう。であるから、ミサイルだけを撃破するという手段は取り得ない。仮に米朝開戦となれば、米軍は全力で空爆をし続ける状態になるだろう。
裏を返せば、すでにテポドンやノドンなどの射程入っている日本にとっては、既に北朝鮮からの核攻撃が可能であるという意味で「核の傘」に入っている。核弾頭ミサイルが到達しない米国と違って、軍事力行使の不利益が絶大なのである。
既に日本も韓国も軍事力行使という手段は絶対に取り得ない状態なのだ。
だが、新聞を読んでいると、開戦ムードを作り上げるための記事がオンパレードである。先日、日経新聞本社トイレで販売店主による焼身自殺事件が起きた。推測だが記事内容に抗議して日経新聞の購読者が減っているのではないか。
取り得ない戦争への道を日本では官民挙げて突き進んでいる。アベも政府要人も、戦争によって発生する被害状況を認識していない訳ではない。少なくとも数字では把握している。それでも、戦争に突き進むのは対米隷属体制の死守が保身の全てある、という認識に基づいた行動原理で動いている、というのと、福島第一原発事故によって発生している人的損耗があまりにも甚大であり、隠蔽工作として国体挙げての戦争動員を行うという側面もあるだろう。
米国にとって、北東アジアでの戦乱を望む要因が別にも有る。なんと、サムスンの半導体部門の売上額だけでインテルの売上額を超えている。
昨今の日本におけるサムスン叩きとアップルよいしょは目に余るが、意図的に誘導されている可能性は高い。しかも、韓国の司法当局によってサムスンの社長が収監されている異常事態である。
アップルは部品調達を通例2社以上から行っている。そのアップルが心臓部であるSoCの調達をTSMC(台湾)一社に絞ったのである。
穿った見方をすれば、米国企業よりも国際競争力でまさる韓国系企業を物理的に破壊するために、米政府が戦争を仕掛ける可能性も捨てきれない。日韓が戦火にまみれて産業界が機能不全に陥れば、米国IT企業は相対的に浮上する。この悪魔的戦争利得に逆らえるほど、米国が道徳的ではないことは歴史が雄弁に物語っている。
日本人民にとって戦争を抑止するにはアベ一凶体制を打倒するしかない。武田鉄矢がアベを批判する人達に対して「非対称戦は卑怯」ということを言ってSNSが炎上しているが、これには一理あって、無名で影響力もほぼ皆無のネット人民の攻撃に対して、アベ政権は対処できないのである。仮に対処しても、アベを批判する人民が100万人単位で発生すれば、それだけで警察や司法機関が機能不全となってしまう。
(1)北朝鮮の幹部が明かす「米朝戦争のタイミングと、回避の方法」
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53745
21世紀の戦争と平和: きみが知るべき日米関係の真実 | |
孫崎享 | |
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