SMILEY SMILE

たましいを、
下げないように…

悲しい歌

2004-05-29 23:57:42 | ビルエヴァンス
ピチカートファイブの「悲しい歌」も勿論、悲しいけど、
ビルエヴァンスの晩年の演奏は突き抜けた悲しさが、ある。

ビルの生涯を評して、「緩慢な自殺」と言った人がいる。
最後のトリオのベーシスト、マークジョンソンは何度も入院することを懇願したが、聞き入れられなかったという。マイルスのグループに入った20代の頃から始めた麻薬を完全に絶つことができなかった、しなかった。

芸術家の業、と言っては安易に過ぎるだろうか。

彼は、終着地を決めていた。
倒れるまでステージに出続けた。

WALTS FOR DEBBY
SOMEDAY MY PRINCE WILL COME
NARDIS
MY ROMANCE

の鬼気迫る演奏。

I LOVES YOU,PORGY
BUT BEAUTIFUL

の比類なき美しさ。

彼は、目の前の死と引き換えに・・・
しかし何の為に?
自らの芸術の完遂の為に?

それは、わからない。

ただ、私は、残された音を頼りに思いをめぐらすだけ。
大きな音で聴いていると、そこに居合せている錯覚に陥って、
熱いものがこみ上げて来る。