何本目になるんだ、このビールは。
飲み終わってもないのに、また、開ける。
部屋は、空き缶で足の踏み場もない。
安吾の部屋みたいだ。
空き缶を踏み潰しながら、歩き回る。
なぜ、私はここを出ないんだ?
一歩踏み出せば、
空が待っている。
雲が読んでいる。
風がいざなう。
そこでは、人が歩いている。
子供が走っている。
老人が独り言している。
また、缶を開ける。
すると、小さな人が、37人こぼれ出てきて、踊り出した。
唄い出した、泣き出した、缶に戻ろうとした。
てんで、ばらばら。
眺めていて飽きなかった。
しばらく見ていて、彼らは、私に気付いていないことを知った。
みな、無心に、やりたい放題。
一人を、指で弾いてやった。
小突かれた彼は、不思議そうに天を仰ぎ、そして、笑った。
隣の奴が、彼に耳打ちした。
聞こえない・・・。
彼は、大仰に頷き、缶の中から団扇を取り出した。
嬉しそうに扇ぎ、踊り、踊り狂って、顔を赤くした。
恍惚。
彼は、秋の主。
祈り、光り、秋波は一度だけ。
37人は、一斉に踊りだし、唄い出し、
その声は、重なり和し、素晴らしく私に響いた。
そして、突然消えた。
行方は知らない。
それだけ。
飲み終わってもないのに、また、開ける。
部屋は、空き缶で足の踏み場もない。
安吾の部屋みたいだ。
空き缶を踏み潰しながら、歩き回る。
なぜ、私はここを出ないんだ?
一歩踏み出せば、
空が待っている。
雲が読んでいる。
風がいざなう。
そこでは、人が歩いている。
子供が走っている。
老人が独り言している。
また、缶を開ける。
すると、小さな人が、37人こぼれ出てきて、踊り出した。
唄い出した、泣き出した、缶に戻ろうとした。
てんで、ばらばら。
眺めていて飽きなかった。
しばらく見ていて、彼らは、私に気付いていないことを知った。
みな、無心に、やりたい放題。
一人を、指で弾いてやった。
小突かれた彼は、不思議そうに天を仰ぎ、そして、笑った。
隣の奴が、彼に耳打ちした。
聞こえない・・・。
彼は、大仰に頷き、缶の中から団扇を取り出した。
嬉しそうに扇ぎ、踊り、踊り狂って、顔を赤くした。
恍惚。
彼は、秋の主。
祈り、光り、秋波は一度だけ。
37人は、一斉に踊りだし、唄い出し、
その声は、重なり和し、素晴らしく私に響いた。
そして、突然消えた。
行方は知らない。
それだけ。