SMILEY SMILE

たましいを、
下げないように…

マタイ伝福音書

2005-03-10 14:50:58 | 太宰
太宰さんはクリスチャンではないけれど、かなり聖書を読みこんでいた。

中でも、マタイ伝がお気に入りだったようで、引用もダントツに多い。

引用個所にして42、同じ言葉を何度も作中に用いたりしているから

きっと100近くになるかもしれない。

太宰さんの作品数は153編で、エッセイを加えると200位。

作品の半数に新約聖書マタイ伝福音書の言葉が散りばめられているこ

とになる。


「身を殺して霊魂(たましい)をころし得ぬ者どもを懼るな、

 身と霊魂とをゲヘナにて滅し得る者をおそれよ。」


晩年の太宰さんはこの言葉に取りつかれていたように思える。




死と生の中間地点

2005-03-10 11:53:51 | 太宰
国文学 解釈と鑑賞 特集「太宰治とその死生観」

とても興味深い特集だ。論者も一流。

去年の9月号。迂闊にも気付かなかった。ここしばらくバックナンバー

を探していて、見つけた。

学者、評論家、作家、精神科医、自殺学の専門家、哲学者(いや哲学

研究者か?)

様々な角度から論じられていて面白い。

いちいち触れてゆくと長くなりそうなので何回かに分けて書こうと思う。

今年91歳になるという作家の青山光二さんは太宰と交友があったそう

で、

「太宰さんは、襖を開けて隣の部屋へすっと入るように、いつでも死ね

る人でした」

と語っている。

太宰が生きていたら、今年95歳か。

やっぱり晩年の井伏さんみたいに寡黙になってしまうのかな、なんて

想像してみた。



まぼろし

2005-03-10 11:22:07 | 
10時30分頃になると、外から子供の声が聞こえてくる

そうか、中休みなんてあったっけ

隣は小学校

15分だけの休み時間なのに

子供たちは元気に駆け回る

玄関のドアを開けてみる

子供の姿は見えない

ドアの外はすぐ、体育館の裏

そう、体育館の裏・・・

いろいろなことが起こる体育館の裏

怖いことも、甘酸っぱいことも♪


ドアを閉めようとすると、寿老人のような出で立ちの老人がするりと

ウチに入ってきた

私は、特に違和感なく自然にその方を迎えた

花粉のせいか、部屋の中は霞がかったようにぼやけてしまった

世も末、これほどまで花粉が飛散しているのか・・・

老人は昨夜から置きっぱなしのほうじ茶を満足げに啜ってぼんやり部

屋を眺めてニコニコしていた

僕は気に留めず、パソコンの前に座る

こうしている今も仙人は私の隣で部屋を物色している

さて、いつまでいるつもりなのだろう

10分経過

仙人は消えた・・・霞とともに

彼は中休みの神さまだったのかもしれない

12時過ぎにドアを開けるとまた何か入ってくるのかもしれない

開けようか開けまいか、迷っているところだ