英雄と称されたウクライナ軍の女性スナイパー「オレナ・ビロゼルスカ」
3日、ウクライナ軍のスナイパーによってロシア軍の第7空輸師団長兼第41連合軍副司令官のアンドレイ・スホベツキー少将が狙撃され、殺害されたという報道があった。詳細は不明だが、ウクライナ軍がロシア軍を撃退する最中だったらしい。ロシア軍は少将の死を公式には発表していないが、将軍クラスの士官が亡くなっていることは認めている。
ウクライナ軍には実は2014年までプロのスナイパー、装備がなかった。しかし、2014年にクリミア侵攻・東部紛争が始まったことでNATOの協力を得ながら育成と装備の近代化をはじめ、2500mの射撃を成功させるなど、飛躍的に向上させていた。そんなウクライナ軍の狙撃手の中には英雄と評された有名な兵士がいるオレナ・ビロゼルスカという名の女性狙撃手だ。
現在42歳のオレナ・ビロゼルスカはもともとメディアの編集者だったが、クリミア侵攻・東部紛争が始まったことで2014年5月にUDAと言われる志願兵部隊に加わり、ウクライナ東部のドンパスで親露派武装組織と過酷な塹壕戦を戦い、狙撃手として少なくとも10人の敵を狙撃した。
2017年に暗視スコープ越しにZ-10ライフルで敵を狙撃する映像がネット上に共有されたことで彼女は一躍国内で有名になり、彼女は親露派と戦うシンボルとなり、2018年までに三度の勲章を受章し英雄となった。その後、昇進し、2018~2020年には自走砲部隊の小隊長を務めた。しかし、有名になったことで親露派に狙われることになり、ロシアメディアでは彼女をネオナチの代表として報道している。
彼女は兵士時代からメディアの経験を活かし、ブロガー、Youtuberとして活動し、積極的に情報を発信、2019年には自身のこれまでの戦いを記した本を出版している。彼女は一旦、最前線から離れていたようだが、ロシア軍侵攻する直前の今年2月のイギリスメディアのインタビューに対し「プーチンの軍隊が侵入してきたら再び前線に戻り、敵を殺害することに躊躇しない」と述べており、おそらく最前線に復帰している。
これまでの戦争には度々、狙撃手の英雄が登場していた。第二次大戦(継続戦争)時、ソ連兵500人以上を殺害したシモ・ヘイヘ、ベトナム戦争での米軍のカルロス・ハンコックや、最近であればイラク戦争でのクリス・カイルがなどがそうだ。彼女は再びウクライナの英雄になるだろうか。