映画と渓流釣り

秋のドラマ品評

もう終盤に近付いているけど、観ている秋ドラマの感想を。

まだ結婚できない男
あの高身長で堀の深い顔の阿部寛が厄介な性格だったらさぞかし暑苦しいだろうな。
前作をリアルタイムで観ていないからこのドラマにそれほどの思い入れは無い。だから前のほうがこうだったと言うような残念な気持ちも生まれない。前作のヒロイン夏川結衣との間柄を懐かしむ声が多いようだ。二人は是枝監督作品「歩いても歩いても」で夫婦役で競演していたなと思い出した。両者とも上手な役者だけど、今回のヒロイン吉田羊も演技派だから単に相性の問題だと思う。
往年の名作「101回目のプロポーズ」の主人公は結婚したいのに出来ない悲しみが共感を得たのだけれど、突き詰めたところ、「まだ結婚できない」わけじゃなく「まだ結婚したくない」男の物語であるから、笑って観ることはできるけど婚期が過ぎてゆく男の悲哀に感情移入することは無い。

同期のサクラ
遊川=高畑コンビの作品は少々奇を衒った人物設定になっているけど、二人の波長が合っているのか何処か愛すべき人物像になる。高畑充希じゃないとこうはいかないだろうとも思うけど。
物語の設計も10話を1年ごとに区切り、主人公サクラを取り巻く人々を交互に描いてゆくあたりは、いかにもTVシナリオを量産しているベテランらしい技だと感心する。ただ、内容が紋切り型で中盤過ぎにはいささか飽きてきた。終盤で遊川作品らしい灰汁の濃い味付けを見せてほしい。

新米姉妹のふたりごはん
夏ドラマで深夜枠のドラマにこれからの光明を見出したから、秋ドラマも積極的に観ようと思った。このドラマは先ず題名が面白かったこと。わたくしも料理好きなので、美味しそうなご飯がテーマなら楽しめそうだと。そして、主役の大友花恋が同郷群馬県人であることから密かに応援していることも。
物語は花恋演じる妹が毎回作る料理を姉が美味しそうに食べるだけ。それでも料理されてゆく食材の美しさやしずる感溢れる調理後の料理が上手く描写されている。長男のしんくんが原作漫画を持っていたので、今それを楽しく読んでいる。

時効警察はじめました
このドラマも一作目はちゃんと観ていないので、新鮮な気持ちで観ることができる。芸達者な役者がこれでもかと楽しみながら演じているので、こちらもそのノリが良いリズムとなって伝わってくる。麻生久美子はやっぱりすごい女優だなと感心している。あの無邪気な可愛らしさは演技なんだろうけど、あんなふうに好かれたら幸せだろうな。(反面ちょっと怖いけど)吉岡里帆も新参者なりにドラマをかき回してくれるので楽しみなキャラクターだ。

4分間のマリーゴールド
題名の意味するところが未だ分からないけど、ヒロインの好きな花に4分間の枕言葉が意味深長だ。物語は家族の話でありながら血の繋がらない姉弟の恋愛物でもある。横浜消防が主人公の勤め先なので何となく身近に感じて観ているが、姉弟が頻繁に逢引する灯台のある防波堤は横浜らしくない。
このドラマで唯一拾い物だと感じるのは、ヒロイン演じる菜々緒がナチュラルメイクだととても可愛らしいこと。悪女役で演技の幅を広げたが、真っ当なヒロインも演じられることを示してくれた。振幅の激しい癖のある女優になって欲しい。

ひとりキャンプで食って寝る
今シーズンの一押しはこの深夜ドラマだ。主人公は全く接点の無い男と女。交互にひとりキャンプでの一夜が描かれる。話し相手は多くても2〜3人。だってひとりキャンプだからね。暗闇に焚火とランタンの小さな光だけでほとんど何も起こらず食って寝るだけのドラマだけど、翌朝食事を済ませて帰途に着く車の後ろ姿にしんみりしてしまう。わたくしもこの何年か渓流でのひとりキャンプをしているから、一層思い入れがあるのだろう。一話30分であることも余韻を残す結果になっているけど、横浜聡子を始め質の高い映画監督が演出していることが見応えあるドラマにしている。
今は面倒でテントを張ったらコンビニで買った惣菜をつまみに飲み始めてしまうけど、来シーズンは昔のように釣った山女魚を串刺しにしてマッタリ楽しんでみようか。そんな思いにさせてくれる佳作だ。

スカーレット
つまらなくはなけど、見逃せないほどの作品ではない。朝ドラとしては平均点といったところ。
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