ハードディスク(HDD)の4K/512/ビッグセクタ/AFT/AFとその違い
いつもアクセスありがとうございます。匠技術研究所の谷山 亮治です。
今回は「ハードディスク(HDD)の4K/512/ビッグセクタ/AFT/AFとその違い」です。
ハードディスク(HDD)を交換するために、仕様を確認していると「セクタ」という技術用語が出てきます。セクタとはHDD上のデーターを入れる箱です。一般に利用するHDDのセクタの種類は、512/セクタと4096/セクタの二つしかありません。4096と数字が大きくなったセクタをビッグセクタ(Big Sector)と呼んでいます。
HDDの円盤の上にはこのセクタ=箱が並んでいます。セクタの数字は、箱の大きさを示します。512よりも4K=512x8 = 4096のほうが一箱に沢山入ります。512/セクタの場合はHDD上の約88%を使うことができます。一方4096/セクタの場合は約97%になり、512に比べて約10%も記録できる領域が増えます。この差は、データの前後を挟んでいる、内部的に必要な領域を効率化し減らした結果です。全く同一のHDDの円盤で、セクタの違いにより容量に10%の差が出るのです。さらに、後発の4096/セクタの方が、より強力なエラー補正機能を備えており、耐障害性も向上します。
ところが、512/セクタは約30年も使われてきました。4096/セクタの本格的な普及は2009年ごろ、Windows 7からです。この二つの方式の違いを吸収する仕組みがAFT/AFです。AFT(Advanced Format Techonology)もAF(Advanced Format)も指すところは同じです。主流になる4096/セクタのHDDが、あたかも512/セクタのHDDに見える仕組みを提供します。この仕組みにより、古い基本ソフトや、互換性面から古い仕様を守るソフトなどでも、新しいHDDを接続することができます。
AFTの泣き所は、512/セクタに分割された情報をHDD上に4096/セクタで書き込むことです。HDDは基本ソフトから受け取ったデーターを512/セクタに分割し、HDDの書き込みをしますが、HDDの上は4096/セクタ単位です。512単位で書くと、同じ領域に4回書きます。書き込みは、情報を保護する為の複雑な手順を踏むこともあり、書き込み効率は低下してしまいます。
とはいえ、新しいHDDのアクセスは速くなっているので、古いシステムにとってはこのAFTによる効率低下があってもなお、高速にアクセスできる組み合わせもあり得ます。一方、新しいシステムで、より高い性能を目指す場合は、4096/セクタのアクセスにすることにより、書き込み回数を大幅に減らすことができ、効率を高めることができます。HDDの「AFT非対応」は512/セクタか4096/セクタどちらかのみ対応するものです。
Windows 7以降は4k/セクタがサポートされています。ただし、古いディスク管理ツールなどは必ずしも4k対応とは限りません。
Linuxでも同様です。特に長年動いているシステムでは注意が必要です。新しいシステムは4096/セクタで構築します。その方法は、追って紹介します。