光回線より無線ネット普及推進を
こんにちは。匠技術研究所の谷山 亮治です。
2009年5月18日付日経新聞に、NTTが2000万回線の光回線の普及計画を断念したこととその解説が掲載されています。
内容を要約すると以下の通りです。
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NTTが過去最高の営業利益を基に光回線の更なる普及を推進すること即ちNTTの設備投資が日本のIT産業復活の呼び水になり得る。一方光回線用に発売を開始したNTTのネット端末は海外製であり、日本発の装置、サービスの開発の好機だとしNTTファミリーも含めて利益を将来への投資としてNTTの光回線を中心とした開発投資に向けるよう促したい。
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NTTが2000万回線への加入を断念した背景は、通信設備投資に引き合わない過疎地域が残ってきていること。情報通信白書で明らかなように、日本ではネット利用の携帯電話化が進んでおり、固定回線を必要としない利用者層が多く、携帯電話によるインターネット通信網の拡大が急速に進んでいること。さらにWiMAXの登場により無線インターネット接続が多様化するなど、インターネット接続方法の多様化が進む中で「光回線の伸びしろを低く見た」という「現実的な判断」だと推測します。
私の長崎県の実家はネット過疎地で、かろうじてADSLが不安定につながっています。このADSLは調子が良いときで、下り約300kbpsで都市部ではブロードバンドとは呼べない程度の速度です。調子が悪いときは切れてしまいます。光回線はいつくるかわかりません。携帯電話は家の中ではつながりません。docomoもだめで、裏のほうの屋外でかろうじてauがつながります。アナログ地上波は高いアンテナを上げないと受信できません。地上波テレビも過疎地域です。
このような環境では「光、光」といわず、まずADSL接続を安定してほしいし、年寄りのためには携帯電話をつないでほしいのです。
実はADSLの回線を光に切り替えるには大きな問題があります。
1.電話回線のオフトークを使った有線放送が受信できなくなること
2.プロパンガスのリモート検針が利用できなくなること
これらの問題を解決し、かつ現在の経費程度で電話とインターネットを利用できることが必要です。
過疎地域のもつ情報伝達手段「有線放送」は地域生活の中ではたいへん有用です。「地域の日常」を結んでいます。一方インターネットを活用すると「家族」を結ぶことができます。社会的には高齢化が進むことにより「家族の日常」を結ぶことが必要で、その仕組みの一つとして安価なインターネット接続を必要としているのです。
都市部を含めてネット接続過疎地域の改善には無線ネット系の方が現実的です。ネット過疎が改善されれば、そこを仕事場とすることができます。今の不安定なADSLでは仕事場として使うことは難しく「マクドナルドの無線LAN接続」を使うことが多々あります。そのマクドナルドにはEMobileは届きません。
私も、高速携帯データ通信をEMobileからドコモ/docomo FOMAハイスピードに切り替えたのは、仕事やプライベートで移動した先で実家など一部を除き即時に通信ができるからです。ネット基盤を社会基盤として普及させることが目的であれば、手段としての光回線の普及よりも無線ネット接続をADSLの月額費用程度で普及させるための開発に投資すべきです。その上に有線放送もガスのリモート検針も乗せるのです。
情報過疎を急速に解決するには「光回線より無線ネットの普及推進」が現実的な手段です。さらにネット上に「現在の社会基盤を載せる」ことが必要なのです。
ドコモ/docomoのTVコマーシャルで「電話できなかったら教えてください」を流しています。これが情報過疎を解決する手段です。
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