【或る浮遊】
飛び交う人の批評に自己実現を図り
戸惑うこれの根源に尋ねる行為を忘れ
此の日々が訪れた。
窓の外には誤魔化しの無い夏
描かれてる。
吹き荒れる風に涙する事も
幸せな君を只願うことも
同じ空は明日を始めてしまう
例え君が居なくても…
彷徨う夢の天神に生暖かさを望み
行き交う人の大半に素早く注目をさせ
其の欲が満たされたあたしの眼にも
果てることの無い夢
映されるのか?
泣き喚く海に立ち止まることも
触れられない君を
只想う事も
同じ空は明日を始めてしまう。
例えあたしが息を止めても…
蝉の声を聞く度に
目に浮かぶ九十九里浜。
皺々の祖母の手を離れ
独りで訪れた歓楽街。
ママは此処の女王様。
生き写しの様なあたし。
誰しもが手を伸べて
子供ながらに魅せられた歓楽街。
十五に成ったあたしを置いて
女王は消えた。
毎週金曜日に来ていた男と
暮らすのだろう。
一度栄えし者でも
必ずや衰えゆく…
その意味を知る時を迎え
足を踏み入れたは歓楽街。
消えていった女を憎めど
夏は今…
女王と云う肩書きを
誇らしげに掲げる。
女に成ったあたしが売るのは
自分だけで…
同情を欲した時に
すべてを失うだろう。
JR新宿駅の東口を出たら
其処はあたしの庭
大遊戯場歌舞伎町。
今夜からは此の街で
娘のあたしが女王。
好きな人や物が多すぎて
見放されてしまいそうだ。
虚勢を張る気は
無いのだけれど…
取り分け怖い事など無い。
此の河は絶えず流れゆき…
ひとつでも
浮かべてはならない
花などが在るだろうか?
無い筈だ。
僕を認めてよ。
明日くたばるかもしれない。
だから今すぐ振り絞る。
只伝わるものならば…
僕に後悔はない。
何時も身体を冷やし続けて
無言の季節に立ち竦む。
浴びせる罵倒に耳を澄まし
数字ばかりの世に埋まる。
上手いこと橋を渡れども…
行く先の似たような途を
未だ走り続けている…
其れだけの僕を許してよ。
逢いたい人に逢うこともない。
だから手の中の全てを選べない。
日の出よりも先に
僕が空に投げよう。
吐く息が熱くなってゆく。
本当の幸せを探した時に
愛し愛されたいと
考えるようになりました。
そして
あたしは君の強さも
隠しがちな弱さも汲んで
時の流れと空の色に
何も望みはしないように…
素顔で泣いて笑う君に
エナジーを燃やすだけなんです。
本当の幸せは目に映らずに
案外傍にあって…
気付かずにいたのですが
かじかむ指の求めるものが
見慣れたその手だったと知って…
あたしは君のメロディーや
その哲学や言葉すべてを
守るためなら
少し位する苦労も厭わないのです。
時の流れと空の色に
何も望みはしない様に…
素顔で泣いて笑う君の
そのままを愛している故に
あたしは君のメロディーや
その哲学や言葉すべてを守り通します。
君が其処に
生きているという真実だけで…
幸福なんです。
あなたはいつもそうやって…
丸い四角を選ぶ。
あたしも特に気にせず
三角を乗せてしまう。
嗚呼…
しくじったしくじった!
まただわ…
YOU KNOW
HOW MUCH
I CARE IT
嗚呼…
やられたりやられたり!
ようやく…
愛妻、某ジャクソン夫人。
あなたはいつもそうやって
長い間悩んで
あたしを巧く丸める
全くの積み木玄人。
嗚呼…
しくじったしくじった!
まただわ…
YOU KNOW
HOW MUCH
I LOVE IT
嗚呼…
くやしけりくやしけり!
ようやく…
友好傍若孫夫人。
罵る汝飽かずやあらむ…
すなわちお相手仕りませう。
I REALLY
REALLY DO
是程
多くの眼がばらばらに
何かを探すとなりゃ其れなり。
様々な言葉で各々の
全てを見極めなくちゃならない。
正しいとか間違いとか
黒だとか白だとか…
何処に行けば良いのですか?
君を信じて良いのですか?
愛してくれるのですか?
あたしは誰なのですか?
怖くて仕方が無いだけなのに…
是程
多くの眼がちやほやと
あたしを肯定した
様々な合図でテキパキと
姿を見破らなきゃならない。
優れていて劣っていて
数だとかレベルとか…
此処に居れば良いのですか?
誰が真実なのですか?
お金が欲しいのですか?
あたしは誰なのですか?
何処に行けば良いのですか?
君を信じて良いのですか?
愛してくれるのですか?
あたしは誰なのですか?
この先も今も無いだけなのに…
どうして歴史の上に
言葉が生まれたのか?
太陽、酸素、海、風…
もう、充分だった筈でしょう?
寂しいのはお互い様で…
正しく舐め合う傷は
誰も何も咎められない。
紐解いて生命になずらう。
気紛れを許して
今更なんて思わずに急かしてよ。
もっと中迄入って
あたしの衝動を突き動かしてよ。
全部どうでもいいと
云っていたいような月の灯。
劣等感、カテゴライズ…
そういうの忘れてみましょう。
終わりにはどうせ独りだし…
此の際、嘘の真実を押し通して
絶えてゆくのが良い。
鋭い其の目線が好き。
約束は要らないわ。
果たされない事など大嫌いなの。
ずっと繋がれて居たいわ。
朝が来ない窓辺を求めているの。
あと少し
あたしの成長を待って…
貴方を夢中にさせたくて、
藻掻くあたしを可愛がってね。
今度逢う時は
コートも要らないと…
そんなに普通に
云えちゃうのが理解らない。
ミルクの白に茶色が負けている。
何よりも貴方に逢って触れたいの。
すべて味わって確かめて
イーブンな関係になりたい。
変わりゆくあたしの温度を許して。
もし我儘が過ぎて居ても
黙って置いて行ったりしないでね。
コーヒーの匂いを間に挟んで
優位の笑みを
隠し切れない様子で居る。
若いだけじゃ未だ
バランスが取れない。
梅の散る午後にも
ちゃんと二人は
今日と同じように人混みを
擦り抜けられるかしら?
それぞれが只
忙しくして居たら…
引く手の加減も曖昧に
忘れちゃいそうで不安なのに。
あなたが此処に居る約束など
ひとつも交わしていない。
いつの間にか
淡色が当たり前に香り
二人を支配しそう。
誰よりも
あたしをちゃんと見透かして。
口の悪さや強がりは
精一杯の証拠だって。
頬を刺す朝の山手通り。
煙草の空き箱を捨てる。
今日もまた
足の踏み場も無い小部屋が
孤独を甘やかす。
不穏な悲鳴を愛さないで…
未来等見ないで…
確信出来る現在だけ重ねて。
あたしの名前を
ちゃんと呼んで。
身体を触って。
必要なのは是だけ
…認めて。
「愛している」
独り泣き喚いて
夜道を弄れど虚しい。
改札の安蛍光灯は
貴方の影すら落とさない。
歪んだ無常の遠き日も
セブンスターの香り味わう如く
季節を呼び起こす。
あたしが望んだこと自体
矛盾を優に超えて…
一番愛しい貴方の声迄
擦れさせていたのだろう…
静寂を破る
ドイツ車とパトカー
サイレン、爆音、現実界…
或る浮遊。
林〓たまこ〓檎