多摩爺の「時のつれづれ(霜月の17)」
所得制限が妙案とは思えない。(現金給付のあり方)
政府や与党が検討を始めている、現金給付のあり方について、
あるメディアが行った・・・ 興味深いアンケート調査が報告されている。
全国民に一律給付するべきは28%、18歳以下を対象に一律給付するべきは9%、
生活困窮者を対象に給付するべきは42%となり、現金給付はするべきではないは18%で、
その結果は・・・ 約80%が給付そのものには、賛成であることが分った。
本件については、8日から政権与党内で議論が始まっているが、
メディアや野党は総じて、生活困窮者を対象にすべき、所得制限を付けるべきとの意見が多く、
補正予算が審議されると・・・ そこのところが論点となるのは間違いないだろう。
一律給付よりも、生活困窮者に手当てするというのは・・・ 確かに正論と思うが、
では、その論点となる生活困窮者であるか否かの線引きを、
いったいどこに設定するのか・・・ それが悩ましいし、口で言うほど簡単ではない。
そもそも、収入の低い人々がいるし、
それなりの収入はあるものの、住宅ローンや学資ローンの返済で困窮している人々もいる。
それでも頑張ってる方々に向けて、家を売れば良いじゃないか、
進学を諦めれば良いじゃないか、なんて・・・ 軽々に言えるわけがない。
さらには親の介護などで、ギリギリの生活をしている人々もいるし、
困窮の形態は・・・ おかれた環境によって、それぞれではなかろうか?
また、生活保護受給者や、年金受給者は、コロナ前と比較して収入そのものは減ってないが、
そもそも生活弱者であって、けっして今日や明日の食べ物に困り、住む家がないほど、
生活が困窮しいてるわけではないかもしれないが、
生活困窮者でないと割り切って線引きするのは・・・ あまりにも辛い決断になってしまう。
野党は総選挙の時、生活困窮者に給付すると言ってたが、
観念論でなく、論理的に生活困窮者が定義できるのであれば、
国会審議の場で、対案としてその案を披露してほしいと願っている。
そういった大事なことの、核心に触れないまま・・・ 言いっぱなしだから、
いつまで経っても健全な野党になることができず、支持が得られないと思っている。
また、所得制限を付けるという案も・・・ あるにはあるが、
給付を受けた子供と、給付を受けなかった子供が、互いにその事実を知れば、
多感な時期を過ごす子供たちの間で、差別や虐めに繋がりかねないとの懸念もあって、
政治決着の妥協点として、所得制限を儲けることが・・・ けっして妙案だとは思えない。
さらには・・・ 所得制限を超える程度の収入があったとしても、
扶養家族の状況を加味した可処分所得をみてみたら、生活が厳しい方々もいるだろうし、
所得制限を付けることが、必ずしも良いことだとは思えない。
今回の総選挙で躍進した第三局の野党は、所得制限することを推している。
メディアにでて、切れが良い論調で主張を繰り返している。
元気が良い第三局の方々の言い分は、分かり易いし、嫌いじゃないし、
さまざまな意見があっても良いと思うが、
所得制限ありきの提案に・・・ 同調したいとは思えない。
プッシュ型の支給に拘ることなく、昨年の特別定額給付金のときと同様に申告制にすれば、
給付するまでに数ヶ月かかるかもしれないが、
要らない人は申告しないし、要る人だけが申告するので何の問題もない。
それで良いと思うが・・・ なにか不都合があるのだろうか?
そもそも・・・ このアンケートのスタートにあったものは、
18歳以下の子供を対象に、一律給付するべきか否かだったことから始まっている。
そこんとこを、もう少し掘り下げてみれば、
生活困窮者で18歳以下の子供がいる家庭には、黙っていても給付されるわけだから、
18歳以下の子供がいない生活困窮者の殆どは、
全国民一律に給付するべきとした28%に含まれていることが見えてくる。
さらに・・・ 生活困窮者を対象に給付するべきとした42%と、
現金給付はするべきではないとした18%の・・・ 合わせて60%の方々の大半は、
おそらく生活には困窮していない方々であって、
そもそも今回の給付は、求めていない層にいる方々が多いことが見えてくる。
ということは・・・ 大別すれば、この国の60%の方々は生活に余力があり、
40%の方々は生活が厳しいと言っているのである。
そもそもこの国の仕組みでは、年収や不動産状況は、申告等を含めてお上に把握されているが、
金融資産(現金、預貯金、株など)については申告を求められておらず、把握されてないことから、
だれが本当に困窮しているのか・・・ それが掴めないのである。
そこには、マイナンバーと金融機関の通帳を紐付けしなければ、
クリアできない大きな壁があることは、だれにも分ってることなのに、
国民の多くは、お上の目が届く範囲に、自らの資産を晒すことは・・・ 嫌なのである。
そして嫌な人々の大半は、今回のアンケートから見えてきた、
生活に困窮していないとして分類された、約60%の層に含まれていると考えられ、
既に第三者的な立場で、高みの見物を洒落込んでいて、
生活困窮者を定義する議論など・・・ 既にどうでも良くなっているのではなかろうか?
昨年支給された「特別定額給付金」の10万円については、
支給したものの、約70%が貯蓄に回ったなどと、非難する声が多かったが、
貯蓄したからといって、そのままずっと・・・ 通帳の中で眠らせているわけではない。
数ヶ月を経て生活費に消えており、全くもって非難するようなことではない。
大きな買い物をしたら「◯」で、生活費でちまちま使ったら「X」というのは、
財務省が巧みに練って仕掛けた広報戦略に、メディアと一部の政治家が悪乗りして着色した、
批判のための批判であって・・・ 騙されるわけにはいかない。
さて・・・ どうなる。
私は年金生活者であり、18歳以下の子供もいないので、
どちらかといえば、全国民に一律給付するべきとした・・・ 28%のなかにいる。
前回の現金給付のときは、タイミング良く冷蔵庫が壊れて、大きな買い物をしたが、
もし、今回もいただけるのなら・・・ まずは貯蓄して、生活費に少しずつ取り崩すだろう。
財務省やメディア、さらには一部の政治家が言うことが正しいと言うのであれば、
給付金を使うことなく、夜な夜な通帳を眺めて、ニヤつかなきゃならないが、
そんなバカ者が・・・ いったい、どこにいるというのだろうか。
庶民の生活をバカにするにも程がある。
まっ、どのような結論に至っても・・・ どこで線引きをしようが、
必ず異論があって、100%の納得が得られないのが、
民主主義の根幹でもある、多数決のシステムだから、
そのための総選挙であったことを理解し、了解するしかないのだろう。
自虐的で申し訳ないが・・・ アンケート結果を見る限り、
この国には、生活弱者と呼ばれる人々はいるものの、
多くの人々はそんなに困ってないし、余力を持って生活しているということになるのだろう。
アンケートの結果が示すとおり、現金支給をすべきではないといった層が18%あり、
生活困窮者に支給すれば良いといった層が42%もあるんだから
所得制限するか否かは、もはやメディアが気にするネタの一つになっていて、
自分のこととして捉える人々は少なく・・・ 既に他人(ひと)ごとになっている。
あっちこっちで似たような数字が飛び交い、なにがなんだか分らなくなってしまったが、
私自身がたいした人間でもないし、立派な生き方をしてきたわけでもないので、
生活困窮者がどうのこうのとか、所得制限すべきだとか、支援してあげてほしいとか、
まるで善意の第三者のように、人と人との間に線を引いたうえに距離を置き、
少し高いところから見ているような、上から目線的な発言は・・・ 申し訳ないが私にはできない。
もしかしたら・・・ 私の感覚が、世間とズレているかもしれないので、
そのことだけは、最後に付け加えておきたい。
行き過ぎた発言であったら・・・ 大変申し訳ないが、ご容赦願いたい。
コメントを頂戴しありがとうございました。
民主国家ですから、さまざまな意見があって良いと思っており、民主的に決まれば文句はありません。
ただ私は、生活に困っている人とか、助けてあげてほしいと思うことが、
自分自身がたいした人間でもないのに、高いところから見ているようで、小っ恥ずかしくなるので、
一律としたうえで申告制にするのが落としどころかなと思っています。
くれぐれも、力丸ママさんのコメントを否定しているわけではありませんので、察していただければ幸甚です。
全部親が仕送りできるかたたちばかりじゃないです。
生活に困っている人を助けてあげて欲しいです。
裕福な人も一律、それは楽でしょうけれど大反対です。