多摩爺の「時のつれづれ(文月の18)」
是々非々という役回り(東京都議会議員選挙2021)
4日に行われた注目の東京都議会議員選挙、
今後4年間の首都・東京の方向性が決まる大事な大事な選挙だったが、
投票率がどうとか、都民ファーストが大敗するとか、政権与党(自民・公明)で過半数とれるかとか、
立憲や共産が政権批判の受け皿になるとか、あれほど騒いでいたものの、
結果がでてみると・・・ いったいどこが勝って、どこが負けたのか、
勝者が見当たらない不思議な現象が起こっている。
選挙戦が始まる週の頭に、都民ファーストの生みの親でもある小池都知事が、
極度の過労で緊急入院するなど、
大苦戦が予想され、下手をすれば1ケタ台の当選者しかいないのではと、
結果が危ぶまれた都民ファーストだったが、
週末になって小池都知事が職務に復帰すると、判官びいきをテコにして劣勢を挽回している。
結果は15議席減となったものの、第2勢力となる31議席を確保するんだから、
都知事の人気は絶大だと言わざる得ない。
そのとばっちりを受けたのは・・・ 自民党だろう。
当初は自民党と公明党で過半数を目論んだものの、
都民ファーストへの同情票と、保守の勢力からの批判票が流れ、
ラスト3日で急ブレーキがかかり、都議会第1党にはなったものの伸びきれず、
公明党と合わせても・・・ 過半数は、はるかに遠かった。
思うに・・・ 大都市部において、自民党離れが進んでいることは間違いないだろうが、
その批判の行き先が、対局の立憲民主党や共産党などの左派勢力に流れるのではなく、
第2の保守勢力でもある、都民ファーストに票が流れていることを踏まえれば、
維新を軸にした、第2保守が確立された大阪府と似たような現象が、
首都にも出来つつあるのかもしれない。
もし、都民ファーストが、次の都議選でも30議席以上を確保すれば、
間違いなく安定した勢力となるだろう。
自民党にとっては脅威かもしれないが、
これで議論が活性化するのであれば、保守系で切磋琢磨されるので悪い話ではない。
一方で、政権交代を声高に叫んだ、国政で野党第1党にある立憲民主党は議席を倍増させたものの、
首都では第5勢力という体たらく・・・ 全くもって、政権批判の受け皿にはならなかった。
今回の都議選では、選挙区ごとに立憲民主党と共産党とで候補者をすみ分けており、
両党が獲得した議席を合わせれば34議席となることから、
自民党を上回ると、総選挙に向けて楽観的な分析もあったが、
都民ファーストに流れた保守層を含む無党派の票が、
いまさらながら・・・ 左派系の党に流れるとも思えない。
立憲民主党と共産党は、今回の都議選で手応えを掴んだと、両党の幹部が総括していたが、
共産党を極度に嫌う、支持母体の連合からの圧力も強くなるだろうし、
前回の政権交代のとき、民主党に居た保守系議員の多くは既に同党を去り、
左派系の議員が中心となっていることに加え、
レフトウイングの権化のような共産党が、選択肢に加わるとなると、
単純に1+1が2になるとは思えない。
さらに立憲民主党の幹部は、今回の選挙では支持母体の連合東京よりも、
共産党の方が、リアルパワーがあったとして、連携を認めているいるにも拘わらず、
それを咎めるような声がないことを踏まえれば、
もはや、ずぶずぶの関係にあることは明らかで、仮に次の総選挙で政権交代があった場合、
共産党を含めた政権ができることを疑う余地はなくなってしまった。
また今回、公明党が全員当選を果たしたことにも・・・ 注目せねばならないだろう。
東京で都民ファースト、大阪で維新、国政では自民党と組むことで、
与党へのこだわりが強く、節操がないとの批判が多いし、
なにより支持団体の存在を、問答無用で嫌う人々が多い政党だが、
与党にいなければならない役割について、ちょっと生意気かもしれないが能書きを垂れてみたい。
与党でいることの強みは、予算の策定に関わり、
政党の主張(選挙時の公約)を具現化できることだろう。
これが野党になると、与党が提出した予算案に修正を求めることと、
執行後のチェックだけでになってしまい、
独自性を持った公約を実現することは・・・ 極めて厳しくなってしまう。
野党の議員からは、是々非々という言葉をよく聞くが、
実際のところ是々非々で議論し、採決を行っているのは維新や、国民民主党などの、
中道の立場で議論に加わっている第三の勢力だけであり、
立憲民主党や、共産党に至っては、全てとは言わないが・・・ 是々非々ではなく、
非々非々(ただひたすらに反対)のようにしか見えてこない。
その最たるものが、立憲民主党の女性幹部が毎日のように発する、
ピント外れでヒステリックなツイッターであり、
なんでいつも、そんなにイラついて喧嘩腰なのか・・・ 全くもって理解に苦しむ。
こういった人が幹部にいて、それを諫める人もいないんだから、
もうそれだけで嫌になるのは普通のことだと思うし・・・ もの凄く不愉快になってくる。
公明党の肩を持つつもりはないし、様々な批判や非難があることまで否定するつもりもないが、
生活者の目線で、そつなく政策提言がされていることを、もっと知るべきではなかろうか?
コロナ禍に陥って、すぐに思い起こすのは昨春のことだ。
山口代表が安倍首相に掛け合い、10万円の定額給付金を実現したことは記憶に新しいが、
ワクチンについても・・・ 大きな功績をあげていることを、知らない人は多い。
昨年の夏、海外メーカーとの購入交渉が遅れていたところに、
予備費を活用したワクチンの予算措置を強く求めて、
交渉を進展させたのみならず、接種の無料化についても進言し改正予防接種法の成立に尽力している。
こうした政策に、立憲民主党と共産党は「慎重にせよ。」といった付帯決議をつけて、
承認にブレーキをかけたばかりか、共産党にいたっては、
ワクチン接種の体制整備などを織り込んだ補正予算に主要会派で唯一反対している。
勘違いしてはいけないのは、予算に反対すると言うことは、政策に反対すると言うことであって、
共産党が街頭演説などで、成果として喋っている内容のほとんどは、
他党の実績を横取りしたものなのである。
くどくて申し訳ないが・・・ 公明党の肩を持つつもりはない。
とはいえ、この政党が与党であることの意義を熟知し、
生活者目線で数々の成果を上げてきていることに目を瞑り、背を向けるのであれば、
これもまた反対のための反対であり、好き嫌いだけで判断する、偏見だと言わざる得ない。
緊急事態宣言下に、銀座で深夜まで飲んでいたという、どうしようもないバカな議員もいたが、
他党と違うところは、即座にケジメをつけさせていることだろう。
思いや考えは、人によって様々なので、反対意見もあっても良いと思うが、
政策提言(公約)が、着実に実を結んでいることを、客観的に見ている人がいるからこその、
全員当選だと・・・ 私は思っている。
投票率の低さや、組織力の強さも・・・ 確かにあるだろう。
さはさりながら、熱烈な支持者だけで、当選できるほど基礎票を持たない政党だからこそ、
日々の仕事ぶりが評価されなければ、言いっぱなしで良い野党とは違って票に結びつかない。
その典型的な政党が、公明党だと思うし・・・ 与党でなければその成果が見えてこないのである。
つらつら思うに・・・ この国は、保守的な思考を好む人々が多いものの、
それが長く続くと、川が濁り、澱むように、
いたるところで誤りや綻びが生じ、不正も起きてくる。
不正など、ないに越したことはないが、人がやることに絶対はないと心得ておくことも肝要だ。
もし、時の政権が、そのような状態に陥ったとき、
お灸をすえたり、是々非々で意見し、
軌道修正をしていく役割を担った第三の勢力が必要となってくる。
政治には、対立軸が受け皿になることも大事だが、
そういった役回りをする政党が必要だということも忘れてはならない。
政治は結果がすべてだと捉えれば、けっして好き嫌いで肩入れすることがあってはならない。
そう捉えれば・・・ 都民ファーストに求められる立ち位置は、都議会では第2党でありながらも、
都知事が立案する政策を、サポートする立場であることに、今後も変わることはない。
よって、厳しい議会運営が求められることは必至だが、
第2の保守勢力として、議会第2党として支持を得たことを踏まえ、
左派系勢力に与することなく、是々非々の役割を担ってくれるのであれば、
今回の選挙結果は・・・ 願ったり叶ったりだったのかもしれない。
追伸
昨年の秋、菅政権が誕生したときに、「第三の勢力という価値」という表題で、
思いを綴っているので、改めて私の信条を紹介させてもらいたい。
2021年 東京都議会議員選挙
都民F 自 民 公 明 共 産 立 憲 維 新 ネット 国 民 れいわ 無所属 計
当選者 31 33 23 19 15 1 1 0 0 4 127
改選前 46 25 23 18 7 1 1 0 0 5 126
増減 ▲15 +8 0 +1 +8 0 0 0 0 ▲1 +1
※ 改選前は欠員1
千代田区(1) 都 ・ 自 無 共
中央区 (1) 自 ・ 都 立 維
港区 (2) 自 都 ・ 立 共 維 諸 無 無
新宿区 (4) 共 公 都 自 ・ 立 自 無 維 諸 諸 諸
文京区 (2) 共 都 ・ 自
台東区 (2) 自 都 ・ 都 共 維 諸 無
墨田区 (3) 都 自 公 ・ 共 自 国
江東区 (4) 公 自 共 都 ・ 自 立 維 諸
品川区 (4) 公 無 共 立 ・ 都 自 自 諸
目黒区 (3) 都 公 立 ・ 共 自 自 無
大田区 (7) 共 維 立 自 公 都 公 ・ 都 自 自 国 無 無 諸 諸
世田谷区(8) 都 共 公 自 自 立 立 自 ・ 維 ネ 都 れ 無 国 無 諸 諸 無
渋谷区 (2) 立 都 ・ 自 都 無
中野区 (3) 立 都 公 ・ 自 無
杉並区 (6) 都 共 自 立 公 自 ・ ネ 都 れ 維 諸 諸
豊島区 (3) 都 共 公 ・ 自 無 嵐
北区 (3) 自 共 公 ・ 維 都
荒川区 (2) 公 都 ・ 自 共 無 諸
板橋区 (5) 公 立 都 自 共 ・ 自 維 無 無 無
練馬区 (7) 公 立 共 都 都 自 自 ・ 無 自 維 諸 無 無 嵐
足立区 (6) 都 自 公 自 共 公 ・ 立 都 れ 諸 諸
葛飾区 (4) 公 共 都 自 ・ 自 立 無 無 諸 諸 諸 諸 諸
江戸川区(5) 公 都 無 自 共 ・ 自 立 維
八王子市(5) 公 共 自 自 立 ・ 都 都 維 諸 諸 諸
立川市 (2) 立 自 ・ 都
武蔵野市(1) 立 ・ 都 自 諸
三鷹市 (2) 立 都 ・ 自
青梅市 (1) 都 ・ 自
府中市 (2) 無 自 ・ 共
昭島市 (1) 都 ・ 自 共
町田市 (4) 公 都 自 共 ・ 立 無 自 無 諸
小金井市(1) 無 ・ 自 都
小平市 (2) 立 自 ※ 無投票
日野市 (2) 都 共 ・ 自
西東京市(2) 自 都 ・ 立 共
西多摩 (2) 都 自 ・ 立 無 諸 ※ 福生市、羽村市、あきる野市、瑞穂町、日の出村、桧原村、奥多摩村
南多摩 (2) 都 自 ・ 立 共 ※ 多摩市、稲城市
北多摩1(3) 公 共 都 ・ 自 立 ※ 東村山市、東大和市、武蔵村山市
北多摩2(2) ネ 自 ・ 都 国 ※ 国分寺市、国立市
北多摩3(3) 都 自 公 ・ 共 立 ※ 調布市、狛江市
北多摩4(2) 共 自 ・ 都 ※ 清瀬市、東久留米市
島部 (1) 自 ・ 共 ※ 大島 利島、新島、神津島、三宅島、御蔵島、八丈島、青ヶ島、小笠原諸島
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