多摩爺の「時のつれづれ(水無月の27)」
自然災害は予見できない。
日曜日の昼下がり・・・ テレビ画面に突然流された「緊急地震警報」
一瞬身構え、リビングにいた女房や娘に声をかけたが、
震源地が北陸の能登だと分ると、あっという間に気持ちが緩むんだから、
能登地方にお住まいの方々には・・・ 大変申し訳ないと思う。
確か能登にも原発があったような・・・ と思って調べてみたら、
震源地は能登半島の北東部で、原発は南西部だし、
テレビに映し出された各地の震度や、地形や海の方角を見て、なんとなく心配はなさそうだが、
東日本大震災を経験してからは、地震警報が出ると「直ぐに原発は大丈夫か?」になってしまう。
一方で・・・ 先週末に、ちょっと気になっていた大きな判断が下された。
東京電力の福島第1原発事故で避難した住民らが起こした集団訴訟で、
最高裁は、国の責任を認めないとの判断を下したのだ。
この裁判の論点は・・・ いったい、どこにあったのだろうか?
巨大な津波が来ることを、国は震災が起こる前に、予測することができたか否かという論点と、
仮に予測することができたとした場合、国が東京電力に有効な対策をとらせていれば、
事故を防ぐことができたか否かという・・・ 二つが論点だったと思う。
結果的に、最高裁の判決では、
「自然災害を予見し、対策を取っていたとしても、事故は免れなかった。」との理由で、
被災して、故郷を追われた方々は、本当に気の毒で、悔しくて堪らないと・・・ 心中を察するが、
「国は責任なし。」との最終判断が下ってしまい・・・ 本件は、ジエンドになった。
あくまでも私見になるが、豪雨ならまだしも、地震や火山の噴火などの自然災害は、
予見できたとしても「いつ、どこで、どれぐらいの規模で」を予測することは極めて困難で、
防ぎようがないと結論づけられたことは・・・ ある意味、仕方のないことかもしれず、
そこに国の責任を求められたら、この国には住めなくなってしまう。
昨日の能登で起こった震度6強の地震にしてもそうだ。
脳天気な私は、知らなかったが、この地域では小さな地震が頻繁にあったらしい。
専門家は流体によるものかも?と、聞き慣れない仮説を立てたが、
その実態は未だ不明であり、新たなメカニズムによる想定外なのか、原因究明が急務だが、
分ったからといっても、対策が打てるようなものでもないようだ。
だからといって、国が耐震基準を厳しく見直し、その実施を義務づけたらどうなるのだろうか?
住民全員に一部補助金は出せたとしても、全額を補助することなど出来るわけがないし、
ましてや、被災は仕方がないので、離れた所に引っ越してくださいなんて言えるわけもない。
さらに、様々な対策を講じたとしても、
対策が完了するまでに、数十年の月日を要することも忘れてはならないし、
対策完了を待たずに、被災してしまう可能性だってありうることだ。
極論すれば・・・ 首都直下地震の起きる可能性がある、
富士山が噴火する可能性がある、東南海地震が起こる可能性があると言われ続けて10年超が経つ。
最近では、被災規模を想定したシミュレーションが、
3Dなどを駆使して、リアルな情報としてメディアで使われているものの、
個人レベルでは、家族で「怖いね。」と話すだけで・・・ どうすることもできない。
この国の人々は・・・ 私も含めて「そうなんだろうな。」と思いつつも、
「じゃぁ、どうしよう。なにをしよう。」と、具体的な行動に移した人は多くない。
けっして、対策をしたくないわけじゃないが、
地震が少ない地方に引っ越すから、
引っ越し代金を出してくれと・・・ 市役所の窓口に行って訴えても、
つまみ出されるだけで、誰も相手にしてくれないのがオチではなかろうか?
被災する可能性が高い地域から、住民を退避させることが一番の対策ではあるが、
そんなことをやったら、首都圏から人は居なくなってしまうし、
漁師さんという生業そのものが・・・ 成立しなくなってしまうだろう。
デジタル化を推し進め、テレワークを推進するなら、
一昔前に議論された、首都機能の移転ぐらい、そろそろ真面目に考えていた方が良いと思う。
最高裁の判決が出たものの、不満が燻る福島に、環境省を移転させれば、
判決では見えなかった、取り組み姿勢の本気度が・・・ 伝わってくるかもしれない。
なんだか、もの凄く無念であり、やるせない気持ちでいっぱいだが、
自然災害は予見できないし、予見できたとしても被災を回避することはできない。
さらに国や地方行政が、いくら対策を打ったとしても、想定外は必ずあると思わざるえない。
分っちゃいるが、これが最高裁の判断だから、
公助も共助も大切で、しっかりやってほしいが・・・ まずは自助だろう。
原発だけは、どうしようもできないが、困難な不安や無力感を嘆くことよりも、
身の回りにある危険を洗い出して、
自分で出来る対策を無駄と思うことなく確実にやっておく。
それで不安が解消できるわけじゃないが・・・ それしかないだろう。
最後になって、大変申し訳ないが、
今回被災された能登地方の方々に、お見舞いを申し上げるとともに、
いまなお続く余震が、少しでも早く沈静化し、
復旧が進んで、いつもの毎日に再び戻ることを・・・ 祈念してやまない。
ガンバレ! 能登
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