『私にふさわしいホテル』
鑑賞日時:12/31(火)08:55〜
映画館:新宿ピカデリー
文豪・東十条宗典(滝藤賢一)
大変面白かった。冒頭から数分の、
「静聴せよ!…静聴。静聴せい!」
三島由紀夫の、あの有名な最後の演説そのまま。
バトルの中身はほんとどうしようもない嘘芝居による策略の連続なのだが加代子は東十条の著作をすべて読んでいるように、文豪作家へのリスペクトだけは嘘ではなく、その主人公の誠実さが映画全体の和やかな雰囲気として伝わってくる。
『私にふさわしいホテル』の"ホテル"とは文壇の世界を示している。ならばラストで机上に置かれた原稿用紙は、"本当は私にはふさわしくなかったホテル"と解釈できる。昭和の文壇における作家と受賞選考者ののっぴきならない緊張関係にもキッチリ迫っている。