ひとときの駿感.blog

☆美味しい食事やCafeのお店。映画や音楽。緑のある風景からポツリと心象まで☆

【映画鑑賞】私にふさわしいホテル

2025-01-03 13:55:00 | 映画館鑑賞

『私にふさわしいホテル』

鑑賞日時:12/31(火)08:55〜
映画館:新宿ピカデリー

 文豪・東十条宗典(滝藤賢一)の酷評によって単行本出版が阻まれてしまい鳴かず飛ばずの身に置かれ続け、メラメラと復讐心に燃えている新人作家・中島加代子(のん)。二人のバトルを描くホンワカ喜劇。

 大変面白かった。冒頭から数分の、ある場面で笑ってしまった。東十条宗典(滝藤賢一)が電話の受話器を手に取ると、聞こえてきたのは中島加代子(のん)の声。

「静聴せよ!…静聴。静聴せい!」

三島由紀夫の、あの有名な最後の演説そのまま。ここから一気加勢に中島加代子(のん)の破天荒なキャラが全面展開する。

 バトルの中身はほんとどうしようもない嘘芝居による策略の連続なのだが加代子は東十条の著作をすべて読んでいるように、文豪作家へのリスペクトだけは嘘ではなく、その主人公の誠実さが映画全体の和やかな雰囲気として伝わってくる。

 『私にふさわしいホテル』の"ホテル"とは文壇の世界を示している。ならばラストで机上に置かれた原稿用紙は、"本当は私にはふさわしくなかったホテル"と解釈できる。昭和の文壇における作家と受賞選考者ののっぴきならない緊張関係にもキッチリ迫っている。



最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。