『翁堂』のナポリタン。
これはいわゆる小盛りというやつで普通盛りでは
僕にとってボリュームがあり過ぎて、いつもこの「小盛り」を注文する。
それにしてもあちこちのおしゃれなカフェでいただくパスタには
相変わらず『昔ながらの懐かしいナポリタン』というメニューが多い。
「昔ながらの懐かしい・・・」という形容詞はつまり切り口が開いた
赤いウインナーに細切りピーマンをシンボリックな存在として
昭和の面影への回帰を誘ったデザインのスパゲッティだ。
もう単独の一語で「ナポリタン」という表記をあまり見かけなくなって
いるようにも気がするが、どうしてもトマトペーストかフレッシュトマト
を使っているのか、美味しいのは間違いないのだが
やはり「昔」という印象も「懐かしさ」も感じられない。
子供の頃を思い返すと昔はこの「ナポリタン」か缶詰の「ミートソーズ」
しかなかったような気もする。
休日の昼間に母親がトマトケチャップで簡単に作ったナポリタンは
美味しかった。大人になって一人暮らしなんか始まると、たまに自分で
作ったりもする。
近所には必ずよくいく喫茶店なんかがありそこで必ず注文するのが
「ナポリタン」だった。いわゆる「昔ながらの懐かしい」という形容詞が
つかない「ナポリタン」。
そしてそんな「ナポリタン」を出すお店は必ず昭和の面影を留め、
「昔ながらの懐かしい」老舗の喫茶店であるのが常である。