◯ 覚えておきたい再利用法。
Wi-Fiルーターを買い替えると、今まで使っていたWi-Fiルーターが余ってしまう。中古ショップやフリーマーケットサイトなどで売却するのも手だが、Wi-Fiルーターの買い取り価格はあまり高くないのが現状だ。
もし、余ったWi-Fiルーターを捨てるのがもったいなければ、再利用するのはいかがだろうか。Wi-Fi中継器、有線LAN機器をWi-Fiに接続するネットワークコンバーター、NAS、スイッチングハブなどに“変身”させて活用できる場合もある。今回は、どのような用途で再利用できるかと、再利用に際して必要な設定変更と注意点について説明していく。
利用前にルーター機能をオフにする。
まず、再利用する際の注意点を述べておきたい。
余ったWi-Fiルーターがかなり古い製品であるならば、再利用はお勧めできない。メーカーも、脆弱性が見つかっていたり残っていたりする恐れがあるという理由で、利用を推奨していない。Wi-Fiルーターメーカーはこうした機種をサポートページなどで告知しているので、再利用を検討する前に必ず確認しておこう。該当していたら、再利用せず破棄したほうがよい。
それから再利用するWi-Fiルーターのルーター機能は、必ずオフにしよう。ルーター機能をオフにしなくても、大抵の場合は利用できるので問題ないように見える。だが、ほとんどの環境で、ルーターを多段で設置したことになってしまう(これを「2重ルーター」と呼ぶこともある)。2重ルーターだと、通信速度が低下したり通信が不安定になったりする。またUPnPやポートフォワーディングがうまく働かないなど、問題の原因になり得る。
さらに再利用するWi-Fiルーターを、ルーター機能をオンにしたまま間違った方法で既存ネットワークにつなぐと、ネットワーク内の端末がすべて通信できなくなる恐れがある。例えばWi-Fiルーター同士でIPアドレスが重複すると、それがネットワーク障害につながる可能性がある。再利用前にルーター機能をオフにしておけば、こうした問題は発生しにくい。
ルーター機能をオフにする方法は、Wi-Fiルーターによって異なる。多くは設定画面か背面のスイッチで切り替えられる。接続した環境によって、自動的にルーター機能をオフにする製品もある。背面のスイッチで切り替える機種であれば、本体の再起動が必要になる。また、スイッチの切り替え後、Wi-Fiルーターの初期化を推奨している機種もあるので気を付けよう。あらかじめ説明書などで、正しい切り替え方法を確認しておきたい。
Wi-Fiルーターの設定画面の開き方が変わる
多くのWi-Fiルーターは、ルーター機能をオフにすると、そのWi-FiルーターのIPアドレスが変更される。設定画面を開くには、その変更後のIPアドレスをWebブラウザーに入力する必要がある。
Wi-Fiルーターのルーター機能をオフにした時のIPアドレスは、製品によって異なる。ルーター機能をオフにしたあとのWi-FiルーターのIPアドレスを調べるには、Wi-Fiルーターメーカーが提供しているユーティリティーや、同一ネットワーク内にある機器のIPアドレスを調べられるフリーソフトなどを使う。
IPアドレスが固定される場合は、説明書にそのIPアドレスが記載されている。このときは、設定画面を開くのに使うPCやスマホなどの端末側も、Wi-Fiルーターと同じセグメントのIPアドレスに一時的に設定する必要がある。
余ったWi-Fiルーターを中継器として使う。
余ったWi-Fiルーターを中継器として使うには、ルーター機能をオフにし、中継器モードとした上で親機となるWi-Fiルーターに接続する。余ったWi-Fiルーターの中継器モードへの切り替え方は製品によって異なる。多くは背面のスイッチを切り替えるか、設定画面で変更できる。
親機への接続方法は2つあり、簡単接続機能であるWPSで接続する方法と、余ったWi-Fiルーターの設定画面から接続する方法がある。
WPSで接続するときは、中継器として利用するWi-FiルーターのWPS用の接続ボタンを押してWPSの待ち受け状態とし、親機となるWi-FiルーターのWPS用の接続ボタンを押して接続する。設定画面で設定するケースでは、中継器モードに設定したWi-Fiルーターの設定画面に項目が表示されるのでそれを開き、親機のSSIDを選択しその暗号キーを入力して接続する。
中継器として利用するときは、そのWi-Fiルーターの有線LANポートをネットワークコンバーターとして利用可能。有線LANしか接続できない機器をWi-Fiに接続できるので便利だ。
ただしコンバーターとして使うときは、SSIDを新たに購入したWi-Fiルーターと同じにしないように気を付けよう。端末を使う場所によってはコンバーターに接続してしまう。新たに購入したWi-FiルーターのSSIDと古いWi-FiルーターのSSIDを別にして重複を避ける必要がある。
USBポートがあるWi-FiルーターならNASとしても利用可能。
USBポートを備えているWi-Fiルーターは、NASとしても利用できる。NASとして利用するには、Wi-FiルーターのUSBポートに外付けHDDやSSD、USBメモリーなどのストレージデバイスを接続すればよい。Wi-Fiルーターの設定画面でユーザーや共有フォルダーの設定後、利用可能になる。ネットワーク内の共有フォルダーとして利用できるほか、Wi-Fiルーターの機種によってはWebアクセス機能もあり、Webブラウザーからインターネット越しにファイルを読み書きできる。
ただし、Wi-Fiルーターで扱えるフォーマット形式は限られる。例えば接続したストレージデバイスがWindowsで使うeXFATやNTFSでフォーマットされていると、読み出しのみ、または利用できないことがある。その場合は、Wi-Fiルーターからストレージデバイスをフォーマットする必要がある。フォーマットすると、記録されていたデータが消え、HFS形式やXFS形式などWindowsで扱えないフォーマットになることがある。また接続したストレージデバイスは、そのWi-Fiルーター専用になる点に注意したい。
また一部の機種では、USBポートにWebカメラを接続して、ネットワークカメラとして活用可能だ。
スイッチングハブにもなるがあまりメリットはない。
Wi-Fiルーターのルーター機能およびWi-Fi機能をオフにすると、Wi-Fiルーターの有線ポートをスイッチングハブとして活用できる。製品によってはLANポートだけでなく、WANポートもLANポートとして利用可能だ。ただし、Wi-Fiルーターはスイッチングハブよりも消費電力は多めになる。スイッチングハブとして使うのは、あまりメリットがないと理解しておこう。