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スマホで使える「Post-it」アプリ、付箋をデータ化するメリットは?

○ 今回のテーマは、付箋を使った発想術である。スマホやタブレットで動作するアプリも併用する、今どきならではの方法を紹介しよう。

新しいアイデアを考える際に、全く新しい発想というものは実はほとんど出てこない。斬新なアイデアだと思っても、すでに誰かが考えているケースが大半なのだ。これだけ情報化が進むと、誰も気が付いていないことを見いだすのは大変な苦労と幸運がないと難しい。結果的に、多くのアイデアが連想や流用から生まれているのが実情である。

今回は例として、新しいお茶の商品を開発するための発想を試みる。だが、実際には目にしたことのないお茶をこれから製品化するのは難しい。結局は既存のお茶のバリエーションになっていく。多くの商品やサービスがこのような傾向にあるはずだ。

だからこそ、アイデアを生み出す際には連想と組み合わせが重要になると僕は思っている。その手法の一つとしてお薦めしたいのが付箋の活用だ。

メモ用紙を使ってもいいのだが、貼ることができる付箋を使って壁にアイデアを並べていったほうがよい。テーブルよりも広いエリアを使ったほうが、アイデア出しの作業がはかどるからだ。

また付箋は後でアプリから使うため、しっかり貼れて落ちにくいものを推奨したい。個人的には、強粘着タイプの「ポスト・イット」がお薦めだ。長方形よりは正方形のほうが、並べやすく見やすいと思う。

付箋は正方形で強粘着タイプのポスト・イットが便利だ
画1、付箋は正方形で強粘着タイプのポスト・イットが便利だ。 

まずアイデアを付箋へ書いて壁に貼る。

まず、付箋に既存のお茶の名前を思いつく限りざっと書いて、壁に貼り付けていく。コンビニなどで販売されているお茶を見てきたり検索したりしてもいいが、知っているだけでも相当あるはずだ。

知っているお茶の名前を片っ端から付箋に書いて壁に貼り付ける
画2、知っているお茶の名前を片っ端から付箋に書いて壁に貼り付ける。

ある程度数が出たらそれを分類していこう。今回は撮影しやすいように数を減らしているが、本来ならこの3倍以上は余裕で出るはずだ。ある程度考えた段階で「日本茶」「紅茶」などのカテゴリーで分類してみると、抜けているものがあることに気付くだろう。分類し抜けていたものを足すことで、検索などをしなくてもさらに数が増えていく。

書きだしたお茶をカテゴリーで分類して、付箋を並べ替えてみた
画3、書きだしたお茶をカテゴリーで分類して、付箋を並べ替えてみた。
 
「日本茶」のカテゴリーに抜けているものがあったので追加した。こうすることでさらに種類が増える
画4、「日本茶」のカテゴリーに抜けているものがあったので追加した。こうすることでさらに種類が増える。

別の角度から分類してみる。

最初に実行した分類はお茶のカテゴリーでの仕分けだった。だが別の角度からも分類は可能だ。例えば「ミルク入りのお茶」「アイスで飲めるお茶」「糖分入りのお茶」「価格の安いお茶」「缶入りのお茶」などで分類できる。貼り付けた付箋を見渡すと、別の角度の分類がいくつも見つかるだろう。

この新しい分類を見つけることも重要である。例えば「タピオカミルクティー」は、紅茶+ミルク+タピオカで分類したものと気付いたら、「タピオカ」の分類をそれぞれのお茶に対して検討する。「抹茶ミルクティータピオカ入り」「煎茶ミルクティータピオカ入り」といった、別の発想が生まれてくるだろう。そこで、最初のカテゴリーとは別の色の付箋で見つけた分類を貼り出す。新しい分類を一通り貼り終えたら、あとはアプリで作業を進めていく。

別の角度から分類してピンクの付箋を貼った
画5、別の角度から分類してピンクの付箋を貼った
 
ミルク入りの可能性があるお茶を選んでみたところ
画6、ミルク入りの可能性があるお茶を選んでみたところ。

アプリに保存して作業を続ける。

先ほど使うと述べたアプリは、iPad/iPhoneとAndroidで利用可能な「Post-it」アプリである。米3Mによるアプリで、アプリストアから無料で入手できる。このPost-itアプリを使うと、付箋を取り込んでデータ化できる。カメラで撮影するだけで付箋を認識して、画面上で利用できるバーチャルな付箋が生成されるのだ。付箋を自由に並べ替えたり、追加したりすることも可能である。

Post-itアプリは、貼り付けたポスト・イットを撮影してデータ化できる。今回はiPadで作業している
画7、Post-itアプリは、貼り付けたポスト・イットを撮影してデータ化できる。今回はiPadで作業している。
 
付箋を認識する。OCRにも対応しているが日本語はうまく修正できない
画8、付箋を認識する。OCRにも対応しているが日本語はうまく修正できない
 
iPad上で付箋を動かしてグルーピングできる
画9、iPad上で付箋を動かしてグルーピングできる。

壁に貼り付けた付箋を撮影すれば、発想した環境をそのままデジタルで保存し、再現して活用できる。見直して付箋を追加していくことも可能だ。アナログとデジタルが融合した素晴らしいアプリなので、ぜひ使ってみてほしい。

Post-itアプリは古くからあるのだが、アップデートを重ねており、いまは付箋を貼ったボードを共有して付箋を追加していく機能も搭載している。iPadで使う場合は、Apple Pencilで手書きした付箋を追加することが可能だ。

iPadで使う場合は、Apple Pencilで手書きした付箋を追加できる
画10、iPadで使う場合は、Apple Pencilで手書きした付箋を追加できる。
 
ボードにiPadで作成した付箋を追加したところ
画11、ボードにiPadで作成した付箋を追加したところ。

付箋をPost-itアプリに取り込めたことを確認したら、壁から剥がしても構わない。というよりも、この方法が本領を発揮するのは付箋を剥がした後である。Post-itアプリをインストールして付箋を取り込んだデバイスを常に持ち歩き、アイデアを思いついたらすぐに付箋を並べ替えたり追加したりしていくわけだ。

せっかく浮かんだアイデアも、オフィスや自宅に戻るまでに忘れてしまっては意味がない。どこでも付箋を貼った環境を再現できて、アイデアを忘れる前に記録できることが、この方法の大きな魅力と言える。


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