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PC で 使える「消しゴムマジック」が 秀逸。

◯ AI機能搭載のChromebook Plus 514を試す。

 AI(人工知能)搭載パソコン(AI PC)が注目を集めている。米Google(グーグル)は2023年10月に「Chromebook Plus」という新たなカテゴリーを発表した。Chromebook Plusに属するパソコンは、高性能CPUや高解像度画面などを備えるのが特徴だ。搭載するOSは「ChromeOS」であり、最新版のOSでは「編集マジック」や「生成AI壁紙」などのAIを利用した機能が使える。

 今回は日本エイサーからChromebook Plusパソコンである「Chromebook Plus 514」(型番は「CB514-4HT-N38Q」)を借用した。実売価格は税込み7万9800円だ。どちらかといえば、低価格パソコンの部類に入る。ここではChromebook Plusパソコンをレビューしていきたい。

日本エイサーの「Chromebook Plus 514」(型番「CB514-4HT-N38Q」、実売価格は税込み7万9800円)は、Chromebook Plusのカテゴリーに含まれるパソコンだ
画1、日本エイサーの「Chromebook Plus 514」(型番「CB514-4HT-N38Q」、実売価格は税込み7万9800円)は、Chromebook Plusのカテゴリーに含まれるパソコンだ。

低価格帯のパソコンとは思えないほど快適に操作できる。

 Chromebook Plus 514の本体サイズは、幅326.9×奥行き224.9×高さ20.5mmで重さは1.43kgだ。画面サイズは14型で解像度は1920×1080ドット。画面はタッチパネル対応である。左右側面にはUSB Type-A端子とType-C端子が1つずつ備わっている。左右のUSB Type-C端子は、どちらも電源端子と映像出力端子を兼ねる。天板はシンプルなデザインだ。Chromebook Plusやメーカーロゴがそれほど主張しない大きさで印字されているのが好印象である。

 実際に使ってみると、小さく表示された文字がかなり見やすかった。高画質な画面のおかげかもしれない。画質は落ち着いた色調で目が疲れにくいと感じた。タッチパネルの画面は指で操作できるので便利だ。タッチパネル対応としては珍しく、画面表面は非光沢。反射や映り込みがほぼなく、見やすいと感じた。

 左右のUSB端子も便利だった。4つもUSB端子があるのは、このサイズのノートパソコンとしては珍しいと感じる。しかも利用状況に応じて電源端子または映像出力端子として活用できるのは、かなり便利だった。

天板のロゴは小さい。目立たないのはよいと感じた
画2、天板のロゴは小さい。目立たないのはよいと感じた。

 Chromebook Plus 514は、CPUに米Intel(インテル)のCore i3-N305を搭載する。Core i3-N305は、第12世代Intel Coreプロセッサーの高効率コア(Eコア)を採用。コア数は8コアであり、最大3.8GHzの周波数で動作する。メモリーは8GB、ストレージはSSDの128GBを搭載する。

 動きはとても軽快だ。電源をオンにすると、ChromeOSが数秒で起動した。アプリケーションの起動も速く、WebブラウザーのChromeやメールアプリのGmailも瞬時に起動する。Webページ閲覧やメール確認などの簡単な操作ならば待つことはない。YouTubeで4K解像度の60フレーム毎秒の動画をいくつか視聴したが滑らかに再生できていた。

 余談になるがOSを初期化したところ、たった30秒程度で完了した。Chromebookは、一部を除きクラウドにデータを保存するためバックアップは不要だ。Windowsパソコンのように初期化で時間を要することがない。環境をこまめに入れ替えるような使い方もしやすいだろう。

抜群に使いやすいキーボード。

 Chromebook Plus 514のキーボードは、キーピッチが19mmであり、キーストロークは2mm(共に筆者の実測値)だった。キータッチは柔らかく、打ち心地がよい。打鍵音もかなり静かに感じた。また、きょう体のつくりがしっかりしているので、キーを激しくたたいて底打ちしたときも指先に振動を感じることがなかった。

 キーボードのキー配列は、Windowsで利用する場合とほぼ同じなので簡単に使いこなせるだろう。ただキーボードの左下に配置されている「Ctrl」キーや「Alt」キーの幅はかなり広い。この2つのキーは頻繁に利用するので、ありがたいと感じた。タッチパッドのスペースも広い。反応がよく、軽く触れた指の動きにも追従できた。

 スピーカーはキーボードの左右にある。音はかなりよいと感じた。高音や低音がクリアに響いた。音楽や映画を鑑賞するのに向くのではないか。

キーボードはストロークが深く打ち心地がよい。左下の「Ctrl」や「Alt」キーが広いのはかなり便利だった。タッチパッドも広く感じる
画3、キーボードはストロークが深く打ち心地がよい。左下の「Ctrl」や「Alt」キーが広いのはかなり便利だった。タッチパッドも広く感じる。

スマホやタブレット用のAndroidアプリも動作。

 ChromeOSでは、「Chrome ウェブストア」から入手できるChromebookアプリや、WebブラウザーのChrome上で動作するChromeアプリ、Google Playから入手できるAndroidアプリなどが動作する。Windowsアプリは動作しないが、ChromeではWebアプリが動く。例えば「Microsoft Office」や「Adobe Express」「Adobe Photoshop」などにはWebアプリがあり、Chromebook PlusパソコンのChromeでも動作した。

 ChromeOSで動作するAndroidアプリは、画面表示を「縦」「横」「全画面」の3種類から選べる。複数のAndroidアプリを縦に並べて情報収集するような使い方が可能だ。Chromebook Plus 514はタッチパネル対応なので、スマートフォンやタブレットと同様にAndroidアプリを指で操作できる。3次元(3D)グラフィックスを利用したAndroidアプリのゲームなども動作した。

ChromeOSを搭載する。ChromebookアプリやChromeアプリ、Androidアプリなどが動作する
画4、ChromeOSを搭載する。ChromebookアプリやChromeアプリ、Androidアプリなどが動作する。

「消しゴムマジック」が秀逸。

 Chromebook Plusパソコンが搭載するChromeOSには、多くのAI機能が備わっている。ほとんどのAI機能はサーバー側で処理するので、利用するにはインターネット接続が必須となる。ChromeOSのホーム画面には、グーグルの対話型AIである「Gemini」が追加された。デスクトップ画面の下部にあるシェルフからアイコンをクリックして起動できる。

 Chromebook Plusパソコンでは、ビデオ通話時にAI機能を利用可能だ。例えばWebカメラを利用している際に、背景をぼかしたり、明るさを補正したり、ノイズキャンセリングを施したりする処理をリアルタイムに実施できる。また「生成AI壁紙」という機能を使えば、画像生成AIを利用して壁紙を作成できる。壁紙の設定画面から「AIを使用して作成」を選ぶと起動する。提示されたテーマから好きなものを選択すると、AIが適宜壁紙を生成する。

 数あるAI機能の中で特に秀逸なのが「フォト」アプリの編集マジック機能の1つである「消しゴムマジック」である。Androidスマホの一部機種やグーグルが提供する有料のクラウドストレージサービスである「Google One」のユーザーも利用できる機能だ。Chromebook Plusならパソコンで利用できる。

 消しゴムマジックは、写真の中に写り込んだ不要物を指でなぞって塗りつぶし、除去できる機能だ。写真に写り込んだ人やごみ箱、電柱、看板などを消してみたが、どれも違和感なく消せた。Chromebook Plusパソコンはスマホに比べて画面が大きいので、細かい部分を塗りつぶしやすい。スマホの消しゴムマジックよりも使いやすいと感じた。

「フォト」アプリの「消しゴムマジック」は、写真内の不要物を塗りつぶすと瞬時に消してくれる
画5、「フォト」アプリの「消しゴムマジック」は、写真内の不要物を塗りつぶすと瞬時に消してくれる。

作業の大半がWebやメールの閲覧なら最高の1台。

 Chromebook Plus 514は、従来のChromebookよりも高速なCPUを搭載する。タッチパネルのレスポンスもよい。操作していてストレスは感じない。Windowsパソコンと動作するアプリが異なるため単純な比較は難しいが、Webページやメールの閲覧が作業の大半を占める場合や、Webアプリで業務を行える場合などは、十分に活用できる1台となるだろう。


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