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『京の縁結び 縁見屋の娘』あらすじ・感想(著者・三好昌子)

三好昌子著『京の縁結び 縁見屋の娘』あらすじ・感想。
先祖が犯した間違いのせいで26歳で死ぬ運命にある祟りつきの娘の前に現れたのは、愛宕山からおりてきた美しい行者。
呪縛を解いてくれると言うのだが……。



『京の縁結び 縁見屋の娘』 

■著者:三好昌子
■発行:株式会社宝島社
(宝島社文庫『このミス』大賞シリーズ)



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『京の縁結び 縁見屋の娘』あらすじ・ネタバレ感想




『京の縁結び 縁見屋の娘』あらすじ 

「縁見屋(えんみや)の娘は祟りつき。男児を産まず二十六歳で死ぬ」
京で口入業を営む縁見屋の一人娘・お輪(りん)はそのような悪縁に悩んでいた。
お輪の母、祖母、曾祖母、皆二十六歳で亡くなっており、実際縁見屋には男児は生まれていない。
お輪はもう十八になっていたが、祟りつきの娘と厭われ友達付き合いもままならない状態では婿をもらうのも簡単ではない。


ある日、お輪は店先で打ち水をしていた。
すると修験の行者が水をいただけないかと声をかけてきた。
縁見屋は行者をことのほか大事に扱う。
お輪と父の呉兵衛(ごへえ)は、帰燕(きえん)と名乗った男を家へ招き入れる。
呉兵衛は、しばらくは京にいると言う帰燕に『火伏堂』の堂守を頼む。


お輪の幼なじみの徳次(とくじ)は、酒屋の『東雲屋』の長男で二十二歳だ。
父親・忠右衛門(ちゅうえもん)は徳次を跡継ぎにすると決めていたが、徳次は稼業に身が入らず遊んでばかりいる。
呉兵衛が忠右衛門の頼みで口利きをしも、徳次は奉公をすぐ辞めてしまうのだ。
呉兵衛は徳次に帰燕の世話をするよう命じ、大工仕事が得意な徳次は火伏堂の修繕に取りかかる。
そして、見つけた。
縁見屋が『岩倉屋』という商家だった頃の主・正右衛門が愛宕山の天狗からもらったと言う【天狗の秘図面】を……。



『京の縁結び 縁見屋の娘』ネタバレ感想 

正直に言うと、私は主人公のお輪(りん)に最初から最後まで苛々していた。
お輪はお人好しでとても良い子っぽく描かれているのだが、私には自分のことしか考えていない自己中で鈍感な娘に思えた。
お輪にテーマソングがあるなら、1982年リリースの河合奈保子の歌『けんかをやめて』がピッタリだろう。
「けんかをやめて 私のために争わないで」
という、とてつもなくおこがましい印象を受けるあの歌詞の曲だ。
私は本を読みながら心の中で「だーかーらー、おまえの為じゃねぇって何回言やぁ分かるんだよ」と毒づいていた。


しかし、お輪がおこがましい考えなのは仕方がない。
なんせ周囲の男達がお輪にとってたいへん都合が良い存在なのだから。
お輪の幼なじみの徳次(とくじ)は酒屋『東雲屋』の長男でありながら稼業に身を入れず、紹介された仕事もひとつきもすれば辞めてしまうことを繰り返す。
徳次は放蕩息子を演じ、後妻の子・富蔵(とみぞう)に跡継ぎを譲って自分は縁見屋(えんみや)に婿に入ろうと企んでいた。
縁見屋の娘との結婚を前向きに考える男や家はないに等しいから、徳次のお輪への執着は有難いものかもしれないが、彼はお輪にとって永遠のキープ君以上にはなれない。


お輪は愛宕山からおりてきた行者の帰燕(きえん)に懸想してしまう。
帰燕の正体は愛宕山の天狗である。
天狗は「鬼霊(きみ)」という肉体がないもので人間を器にして宿る。
今の帰燕が美しいのは、たまたま入った人間が美形だっただけなのだ。
私には帰燕の方でもお輪に情を持つことがよく分からなかった。
今の帰燕に至るまで、天狗の器となった一人である清太郎(せいたろう)を、彼の母親であり縁見屋の呪縛となっている千賀に返すというのは分かる。
だが、様々な人物が混ざったような帰燕がお輪を好きになる理屈が通らない気がして、この辺もお輪に都合が良すぎではないか?


愛宕山の天狗は『愛宕山太郎坊』と言われ火防の神である。
イザナギとイザナミの子・カグツチだが、生まれた時に母のイザナミが死んでしまった為にイザナギに斬り殺されてしまう。
最近は『鬼滅の刃』でカグツチは注目度が上がったのではないかと思う。
帰燕は、京都の大火を利用して縁見屋の娘の呪縛を解こうとするのだが、この辺もお輪が人の心に鈍感すぎて腹立たしかった。


徳次は、お輪の心の中に帰燕がいることもひっくるめて納得して結婚する。
結婚する為に相手に都合の良いことを言ったとしても、それはいずれは想い人のことも忘れるだろうと期待してのことだと思う。
結婚してからも相変わらず妻が他の男を待っている様子をまのあたりにして心がザワザワしないなんてあるだろうか?
結婚してくれただけで大満足ですって?
私が徳次なら、どうせ妻の心は自分にないのだからと自分も好き勝手にしそうだ。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@macaronteaparty まかろん様、コメントありがとうございます。
普段はなるべく辛口にならないように気をつけているのですが、どうにも主人公に感情移入ができなくて、気がつけばこんな文章になってしまっていました。
ちょっと反省ですね。
私は、ドラマ、漫画、小説の感想記事を書いていますが、小説の記事を読んでくださる方はほんとに少ないです。
10秒も読まれないのが実情です。
本離れが進んでいるせいかあまり興味を持たれないようです。
マカロンさんはご自身で作品をお書きになっているので、本当に凄いと思います。
頑張ってください(o゜▽゜)o
macaronteaparty
tataraさん、辛口説明も含めて、役立ちました〜。👏
tataraさんは私がぜんぜん手を出さない物語を解説してくれるので、
ありがたいです。😊

この話、設定は素敵でどきどきしながら記事を読みました。
そして、tataraさんの辛口批評にすかっとしました。

読んでないからそういう話とは知りませんでしたが、
そういうことなら私もイライラすると思います〜👏

私もお話書くときは気をつけようと思いました。
その辺りもふくめて、「役立ちました」!😄

またの記事を楽しみにしていますね🌸(まかろん)

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