堀川アサコ著『小さいおじさん』のあらすじと感想です。
小さいおじさんと言えば釈由美子さん。
あの世界観は小説や漫画でもよくネタになりますね。
この小説は、ファンタジーでありながら殺人事件の謎解きがからんでなかなか面白かったです。
『小さいおじさん』あらすじ
市役所に勤める村上千秋・19歳は、<離れ>と呼ばれる市役所の別館の給湯室で、あり得ないものを目撃する。
それは、黒田節を歌い踊る体長15㎝ほどの小さいおじさんだった。
知らぬ事がないほど何でもよく知っている清掃員の吉田さんから、別館には結界が張られていると教えられる。
小さいおじさんは槇原伝之丞という明治時代に私財をなげうって公園を作り、それを市に寄付した偉人であった。
だが60年前に、その公園にゴミ処理施設を建設され幽霊となって迷い出た。
それが怨霊化し今は市長の命を狙っている。
市役所の職員として、用地買収の契約の為、地権者を先輩の天野隼人とともに訪問する千秋。
その中で長瀬家はとても厄介であった。
元は病院で、槇原伝之丞の公園にゴミ処理施設をごり押しで建設した市長の家でもあった。
しかも5年前には殺人事件が起きていた。
千秋と隼人は、当主の長瀬シオ子に殺人事件の真相を解明すれば土地を売ると言われ、仕事の傍ら捜査に乗り出す。
『小さいおじさん』感想
小さいおじさんは、孤独な人にしか姿が見えない。
夫がいて、妻がいて、家族がいて、友達がいて、恋人がいて、それなりに人間関係が成立していても孤独な人はいる。
千秋には家族もいるし友達もいる。
それでもおじさんの姿が見えてしまう。
孤独だからと言って淋しいわけでもない。
それなりに1人でいることを楽しんでいる人は大勢いるだろう。
小さいおじさんが見える孤独とは、どんなものなんだろう。
このお話の中では、わりと孤独な人が多く登場した。
殺人事件の聞き込みに訪問した先の人達も伝之丞の姿が見える人が結構いた。
世の中孤独な人ばかりだな。
千秋の先輩の天野隼人もその1人。
天野は、千秋の同期の朝倉美和子と交際を始めようとするのだが、一緒に居ても美和子には槇原伝之丞の姿は見えない。
天野はぼっちだが、彼女になるかもしれない美和子はぼっちではない。
うーん、ちょっとショックかも。
美和子は充実した人間関係が他に成立しているってことだもの。
一方、怨霊化した槇原伝之丞は結界が壊れたせいで<離れ>の外に出てしまう。
そして、なぜか千秋と行動を共にする。
殺人事件の謎解きも伝之丞がやってしまう。
これでめでたしかと思いきや、槇原伝之丞は市長の命を諦めてはいなかった。
小さいおじさん大暴走でてんやわんや。
私としては、小さいおじさん、ほしいです。
孤独な人間でもかまわない。
小さいおじさん、うちにも出てきてほしい。
小さいおじさんは千秋の愛猫・レオナルドの背中に乗って市長の霊的ボディガード・深津文江とサイキックバトルを繰り広げたりする。
迷惑な行動だけど、猫に乗った小さいおじさんの姿は可愛いだろうな。
ああ、ほしい、ほしい、ほしい(>o<)
あ、呪わないでくれるならだけど。
以上、『小さいおじさん(新潮文庫)』の感想でした。
ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)
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