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日給100万円の女〖当選請負人 千堂タマキ〗感想(渡辺容子著)勝つ選挙プランナーの発想

渡辺容子著〖当選請負人 千堂タマキ〗あらすじ・ネタバレ感想。
“日給100万円の女”“当選100%の女神”と言われ、政治家たちから崇め奉られる選挙プランナーの勝つ発想に感化されまくり!
まとめるとこんな感じ。
・就職浪人女子選挙プランナーと出会う
・就職浪人女子選挙ボランティアになる
・選挙活動裏側と駆け引き
・VS同姓同名候補者


〖当選請負人 千堂タマキ〗 

必勝だるまのイラスト tataraworks
著者:渡辺容子
発行:株式会社小学館
   (小学館文庫)

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〖当選請負人 千堂タマキ〗あらすじ・ネタバレ感想


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〖当選請負人 千堂タマキ〗あらすじ 

五十四社の採用試験を受け、いずれも最後の面接であがり症ゆえに失敗してきた阿部まりあは五十五戦目に挑む。
十軒あまりの介護付き有料老人ホームを運営する医療法人社団『緑燦会』の副理事長・早乙女とはファミレスで会ったもののあらぬ方向へ話が流される。
「ご意向に添えなくて残念ですが、私、ズボンを脱ぐわけにはいきません」(9ページ)
キッパリ断り、急いで食事代二千円をテーブルに置いてヒステリーぎみの早乙女の元を去ったまりあ。
これで五十五戦全敗である。


悲しいことがあった日はカレーライスを食べるに限る、と近所の洋風居酒屋ブルームーンに寄り、最高に辛い『地獄カレー』を注文したまりあ。
一年ほど前からこの店で見かけるようになった千堂タマキから、
「あなたを世界一楽しいお祭り会場へ案内してあげる」(15ページ)
と、無償だが最高に刺激的な十日間の仕事に誘われる。
千堂環は“日給100万円の女” “当選100%の女神”と言われ、政治家たちから崇め奉られる選挙プランナーだった。
まりあはタマキについて行き、市長選の立候補者・鈴木まこと氏の事務所で選挙ボランティアとして働くことになる。


対立候補は、親子二代で市長を務める現職の辛島一郎だ。
タマキは辛島に勝つ為、ポスターの作り直しを指示し、鈴木に演説する際の手の使い方や演説での争点など、事細かに指導する。
だが、長年鈴木を支えてきた経理担当の松岡絵美が突然事務所を辞めたかと思いきや、彼女の名で事務所に1000万円が宅配便で届けられる。
しかも、鈴木まこと候補と同姓同名の第三の立候補者“鈴木マコト”が立候補。
マコトは元キャバクラ嬢でまことと交際していたらしく、捨てられた腹いせに票を分散させようと立候補したと考えられる。


次々訪れるピンチに、タマキは……。

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〖当選請負人 千堂タマキ〗ネタバレ感想 

エンターテインメントと言っても題材が選挙だけに堅苦しかったり、言葉が難しかったりするのではないかと思ったが、予想を裏切って面白かった。
私はボランティアとして選挙活動のお手伝いをしたことはないし、候補者の事務所をのぞいてみたこともない。
この小説を読んでいるうちにちょっとボランティアに混ざってみたくなった。


「無償で働いてもらうかわりに、約束するわ。あなたに、これまで味わったことのない刺激的な十日間をプレゼントしてあげる。病み付きなる面白さよ」(16ページ)

そんなタマキの言葉は大袈裟ではないように思えた。
選挙の活動は、リアル陣取り合戦と言うか、まるでゲームのようだ。
何かの拍子に一気に黒が白にひっくり返る。
ひっくり返された方は大変面白くない。
が、ひっくり返そうと仕掛けた側は思惑通りに事が運べは大興奮だ。


候補者の事務所には老若男女様々な人達が集まっている。
大学生からお年寄りまで一つの目標に向かって協力している。
ビラ配りにしてもコツがあるらしく、それを慣れた大学生に教えてもらった年配者は彼らの参加を喜んでいる。
その上、自分たちは当たり前のことができていなかったと反省したりして、「年上に指示するな、小童ども」とならないのが良い。


みんなで和気あいあいと茶菓子をいただきながらビラを折る作業も面白い。
茶菓子と言っても、有名パティシエのケーキは高級品の扱いになるから差し入れてはいけないそうだ。
でも、お饅頭やお煎餅はOKらしい。



それにしても、やはり政治家を目指す人というのはナルシストなんだなぁ。
ポスターが貼り出されるのを当たり前の感覚で見ていたが、普通は自分の写真があちこち貼られていたら恥ずかしいものだ、と言われてみれば確かにと頷ける。
タマキによるダメ出し前の鈴木まことのポスターは売れない芸能人のようで、しかも少々キモかったが本人は満足気だった。


私も地元でドン引くセンスのポスターを見たことがある。
それは、30代のフレッシュな候補者がダッシュするポーズのポスターに対抗して、50近いオッサンが同じポーズのポスターを作成し、オリジナルである30代候補者の横に貼ったものだ。
しかも、30代はまっすぐ正面を見ているのに50近いオッサンは上目遣いだった。
オッサンの上目遣い……。
とんでもなくキモかった。


心の中で「誰か止めてやれ!」と思ったと同時に、この候補者は恥をかくのを止めてくれる人が周囲に1人もいないのかと考えた。
ぶっちゃけパクリである。
それなのにオリジナルの横に貼る図々しさ。
おまけにどんなに写真を加工しても、若者と並べたら年寄り感は否めない。


ポスターがパクリで己を冷静に客観視することもできない上、恥をかかない程度のアドバイスをくれる人もいない。
仮に忠告する人がいたとしてあんな真似をしているなら、それは人の話を聞く耳持たないしくじり野郎ってことだ。
そして、案の定落選していた。


<相手を決して追い詰めるな。むしろ、逃げ道を作ってあげるくらいの気配りを示せ>(151ページ)
タマキの戦術は選挙に限らず他の様々なことに応用できそうだ。
対立候補の悪い所をあげつらう演説を考えた鈴木まことに、悪口を言わないよう止めるタマキの代替案はとてもスマートだ。
聞いている方が未来をイメージしやすい具体的な内容でワクワクする。


建設会社にしてもバス会社にしても、そこには働く人がいて給料をもらって生活しているのだ。
それを、駄目だ、無くせ、と言えば1票を持っている彼らの票が離れる。
駄目ばっかり言わないで、こうしたらもっと良くなるよと提案する方が良い。
そんなアイデアをどんどん出してくる選挙プランナーって凄いなと思う。
めちゃくちゃ選挙に興味が湧いてくる。


タマキに誘われてボランティアをしていた就職浪人の阿部まりあも十日間の活動をしているうちに、政治家の秘書になっていつかタマキのような選挙プランナーになりたい、と考え始める。
面接に落ちまくって凹んでいたまりあと、ボランティア活動後のまりあはもう別人格の人間になっていた。
私も、ちょっと誰かの事務所でボランティアをしてみるのも良い経験になるのではないかと興味が湧いた。


以上、〖当選請負人 千堂タマキ〗感想でした。

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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@29qlove ラムネちゃんとキーちゃんのママん様、コメントありがとうございます。
全く顔をあわせたことがない人がふらっと事務所にやって来てそのまま応援活動を始めるとか面白いなぁと思いました。
候補者の事務所が明るい雰囲気だと当選しやすいみたいです。
活動に出掛ける人たちに「行ってらっしゃい」「お帰りなさい」と拍手しながら声掛けするとか、ちょっとしたことで盛り上がったりやる気が出たりするみたいですね。
参加したら色々勉強になりそうだし、人間力がつきそうな気がします(*^。^*)
29qlove
確かに、選挙に動くのは巨額だけではなく、沢山の人が関わり、色んなものが動きますよね。
勝てる選挙、勝てない選挙、必ずしも立候補書の善し悪しではない部分もありますね。
なかなか面白そうだし、考え方の根本や生き方の参考になりそうな事が多いかもです(*^ω^*)

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