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『左遷社員池田 リーダーになる』感想。楽しく読める経営者修行本

『左遷社員池田 リーダーになる -きのうの会社、今日の仕事、明日の自分-』あらすじ・ネタバレ感想。
楽しく読める経営者修行本。
色づく木の葉 tataraworks

『左遷社員池田 リーダーになる』 

著者:鈴木孝博
発行:リーブル出版



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『左遷社員池田 リーダーになる』あらすじ・ネタバレ感想




『左遷社員池田 リーダーになる』登場人物

●池田俊一 35歳
 ㈱フリージア中途採用8年目
 元は事業開発部の将来有望な社員だった
 現在、上場準備室にたった1人勤務

●近藤喜和/コンさん
 フリージアの元副社長
 病気が原因で声が出ない
 ビル清掃管理会社の清掃として働く

●白川雅人 52歳
 現フリージア社長
 大山前社長の娘婿で元銀行員
 社長候補だった橘を子会社へ飛ばす
●山沢智彦 43歳
 白川の盟友で元経営コンサルタント
 フリージアでは取締役経営企画室長
 池田を左遷した張本人

●橘勇一郎 45歳
 取締役営業部長で将来の社長候補だった
 現在は子会社の社長
●小野田朋美 27歳
 秘書室勤務

●吉田克彦
 ㈱ヨシダ代表取締役社長
 白川に目をつけて……
●奈々
 銀座のホステスで白川の愛人
 白川に義兄として吉田を紹介

●大山一郎/おやっさん
 関西で大山食味研究所を立ち上げた
 社名変更し㈱フリージアに
 くも膜下出血で急逝
●大山嘉子
 大山一郎の妻
 父親が大山食味研究所に出資していた
●三浦常務
 大山食味研究所の頃から勤務
●田中靖子 69歳
 大山食味研究所の従業員第1号

●事業開発部の池田の後輩・小林
●事業開発部・笹木
●池田と同い年の営業部の山元
●橘の後任の営業部長・今井
●経理部の山下部長
●経理部・森脇
●総務部・下田部長
●総務部・益子
●西日本支店支店長・石尾



『左遷社員池田 リーダーになる』あらすじ 

池田俊一はくさっていた。
株式会社フリージアの創業者・大山一郎社長がくも膜下出血で急逝して1年。
大山の娘婿・白川雅人が社長となり新体制を敷いてから、池田は花形部署の事業開発部から上場準備室へ異動となった。
所属社員は池田のみ。
仕事は社内報の創刊と社史編纂である。


ある日、上場準備室に1人の清掃員が入ってきた。
池田がいつも通り挨拶をすると、その清掃員はマスクやキャップを外しだした。
現れたのは、病気療養の為に会社を去ったはずの近藤喜和前副社長だった。
病気のせいか声を出せない近藤は、ノートを1冊池田に託した。


白川は、自分の盟友・山沢智彦をフリージアに入社させ、大山・近藤時代の社員を遠ざけようとしており、新体制に不満を抱く者が多い社内は暗雲が垂れ込めていた。
このままではフリージアが空中分解してしまうと考えた近藤は、新たなリーダーとして現在は子会社の社長である橘勇一郎をフリージアの社長にする計画を立てる。
そして、橘を支えるナンバー2として池田を選んだ。
近藤は池田にリーダー教育をほどこそうと考え……。



『左遷社員池田 リーダーになる』ネタバレ感想 

笑顔で読める経営者修行本、というのが私が受けた印象だ。
清掃員になった元副社長・近藤喜和は、自分のことを親しみを込めてコンさんと呼ぶ池田俊一にノートで指示を出す。
その大部分は、池田が学ぶべき人物の元に赴いてインタビューすることだ。


社長候補の橘勇一郎は肝が据わっていて、創業者の大山一郎が本人とその勤め先に頼みに頼み込んでフリージアに入社してもらったのだ。
その時、橘は38歳だったが自ら平社員を希望し一から仕事を始め、45歳時点では取締役営業部長のポジションに就いていた。
この人が池田に語る話は面白く人をワクワクさせる。
橘は子会社の社長に追いやられても落ち込まず、夜は講座に通って会計とマーケティングの勉強を始めていた。
「どんな経験にもムダなものはない。そう思えばいい。そっちの方が面白いだろ?」
(50ページ)
そんな風に言う橘はカッコイイと思う。


2代目社長というのは、自分は努力もしていれば能力もあるのだと、無理矢理にでも世間に知らしめたいといきったわりに、権力で人を抑え込むだけの我が儘野郎としか思われないことが多い。
血縁者でもそうなのだから他人の娘婿・白川雅人が目の上のたんこぶを消したくなるのも分からなくはない。
本当は自分より賢いくらいの人間をうまく使う方が良い社長になれると思うが。


白川のようなタイプは、水商売の女性が大好きで、凄い凄いと持て囃される為に彼女達の前でカッコをつける。
有名ブランドのアクセサリーをプレゼントしたりしてね。
そのくせ、自分の会社の従業員には缶ジュースの1本も買ってやらないのだ。
こういう人がトップに座る小売りの店では、腹いせによる内引きが多かろう。


私は、信用できる人間かどうかの判断基準は夜の時間の使い方だと思う。
この本でも、みんなに社長になって欲しいと思われている橘は、退社後は勉強に時間を使っている。
そして、会社の仕事が楽しくないと従業員に思われている白川は、夜は銀座の馴染みのホステス・奈々に会いに行っている。
本気で仕事を一緒にさせてもらいたい、と思うのは橘だが、会社を乗っ取ってやるには丁度良いと思えるのは白川だ。
そんな白川は、自分が連れて来た山沢智彦にまで愛想を尽かされる。


白川は大山時代のスローガンも変えようとする。
コーポレートメッセージ、ブランドメッセージ、それは結局のところ、いかにステークホルダーに企業の熱意を伝えるかなのだ。
ステークホルダーは株主だけじゃない。
従業員もその家族も会社の近所の人も顧客も全部ひっくるめている。
前の社長が使っていたスローガンは嫌だよね程度で変えてはいけないのだ。


最近、良いなぁと思ったのはコレ。
 世界に
 尽くせ、
 タケダ。
 革新的に。誠実に。
誰にでも分かりやすく、製薬会社としての使命感に溢れた言葉だと思う。
働く人達が目標に向かってひたむきに走っている絵が浮かんでくるようだ。
従業員を鼓舞しながら、これを目にしたステークホルダーである我々が思わず応援したくなる言葉だ。
誰が考えたのか知らないが「ウマイッ!」と思った。


ちょっと前までこういうものはアルファベットやカタカナ英語をかっこつけて使う企業が多かった。
正直、何を言いたいのか分からなかった。
最近は、日本語でズバーンと訴える企業が増えてきて良いことだと思う。
池田がインタビューした営業部長の今井が言うように、「面白くて、頑張っても頑張っても疲れない」仕事ができる会社のような気がする。
実際はどうかはともかく、自分の会社を何だかよく分からない言葉で表現している会社より信用ができそうに思う。


リーダーは自分自身が主体的でなくてはいけない。またメンバーの主体性を自然な形で引き出せるのが良いリーダーだ。誰だって自分の価値を認め、より輝かせてくれる人になら、ついていきたいと思うだろう。
(69ページ)
そんなリーダーの元で働けたら良いな。

☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…☆…

ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)

コメント一覧

tataraworks-lynx50
@macaronteaparty まかろん様、コメントありがとうございます。
ちょっと古い本なんですけどね、面白かったですよ。

>日本人にほんとうに物を伝えたかったら、日本語で、短い言葉で伝える。

本当にその通りだと思います!
目標達成に向けて頑張ろうって雰囲気を作るのに、なんかよく分からない英語で言われても右から左に流れちゃう気がします。
頭と心にガツンと響かせるには、小学生でも分かるような単純な言葉でもいいから、短い日本語の方がよっぽど効果があると思います(^_^)
macaronteaparty
tataraさん、こういう本があるのですね。
あとでAmazonに行ってみようかな。

>私は、信用できる人間かどうかの判断基準は夜の時間の使い方だと思う。

勉強になりました。😳
そういう見方はしたことなかったです。はっとしました。


>最近は、日本語でズバーンと訴える企業が増えてきて良いことだと思う。

わたしもそう思います。
素人物書きとして思うのですが、日本人にほんとうに物を伝えたかったら、

日本語で、短い言葉で伝える。

これだと思っています。

本のご紹介、勉強になりました。
またの記事を楽しみにしていますね😊(まかろん)
tataraworks-lynx50
@numanntak ヌマンタ様、コメントありがとうございます。
私も同族経営は悪だとは思いません。
正直政治家だって、素人よりはプロの方が良いと思っているので親の地盤を子が受け継いでもいいじゃん、と思っています。
困るのは自己のプライド重視で動く人ですね。
ちゃんとやってくれるなら、世襲も何も関係ないのですが……。
numanntak
仕事柄、現実に似たような事案にはしばしば遭遇します。私は同族経営を否定はしませんが、後継者育成は難しいです。上手く行ったと思っていた会社の創業者が、死に際に私に漏らした不満に唖然としたことがあります。息子さん、相当に奮闘しているのですが、親父は満足していなかった・・・時代が違うし、社員の人心掌握も違って当然なのに理解していなかった。この話は息子さんには伝えてない、伝えられない。世間的には成功例なんですけどね。

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