美味しいだけの料理でも十分だが、そこに新鮮な驚きが加わればなおの事嬉しい。
いつもなら接待に使う店は銀座界隈が多いのだが、その時は予約で一杯だと断られることが続いた。引っ越して一年足らずの神田界隈は老舗の料理店は多いが、何故だか夜の営業が多く、昼間に使えない店が多い。
そこでスタッフに頼んで隣の駅でもある日本橋界隈で探してもらった。場所は日本橋三越の斜め向かい、コレド室町2号店の一階であった。予約してある席には、既にコースメニュを記したメモがあったが、まるで料理の予想が出来ない。
一皿目の前菜の季節の野菜は、まぁ予想通りだが、レイアウトが奇抜だった。まぁここまでは想定内。
二皿目の冷菜はカツオなのだが、これは驚いた。この時期だと戻りガツオなのだろうけど、けっこう癖の強い風味なので生姜やニンニクとポン酢が定番だと思い込んでいた。しかし、サザエをベースにしたソースには驚いた。こんな味付けは初めてであり、これは楽しめた。さすがソースにこだわるフレンチ料理である。
3皿目は金目鯛なのだが、なんと皮というか鱗付きで出された。その皮はカリカリであり、半分は塩で美味しく頂き、残り半分はトムヤムクン風の酸っぱいスープに混ぜて頂く。これまた初めての味覚であり、嬉しくなる味付けである。
そして四皿目は鹿肉のステーキなのだが、風味の大きく異なる二種類のソースで楽しめる。正直言うと、鹿肉を美味しいと思ったのは初めてだ。いやはや完敗である。
五皿目はデザートであるが、あっさりとしており、いささか満腹気味でも躊躇わずに食べられる。フランス料理の特徴であるソースを多彩に使ったコースメニューで実に楽しめた。
私は伝統的なフレンチが好きで、創作料理はあまり好まないが、今回初めて大いに満足できた。ちなみに一人7千円前後だからランチにしては、決して安くはない。でも不満はまったくなかった。ただ絶対にカロリーオーバーは間違いなし。その点だけは、少々後悔しています。
・・・いいじゃん、久々の贅沢なんだしさ。