つらつら日暮らし

地蔵菩薩は閻魔大王

フジテレビの『トリビアの泉』で地蔵菩薩が閻魔大王という説が出ていたので、若干考察をしてみましょう。

地蔵はインドに於いて信仰され、元々は農耕についての女神が起源ですので、ちょっと今回のような考え方は出てこないのですが、これが、中国に入りますと、三階教という仏教の一宗派が、『十輪経』という教典の影響もあって、地獄に堕ちるという恐怖に襲われる末世の衆生は地蔵を本尊として救済されるべきだという信仰が拡がりました。

日本に地蔵のイメージが伝わったのは、教典を通じて奈良時代に入ってきたのですが、平安時代末期の浄土信仰に影響を受けて、地蔵信仰は民間にも拡がっていきます。その時に原動力となった経典が『地蔵十王経』という日本で作成された偽経です。この経典では、明確に閻魔大王の本地(=本来のあり方)が地蔵菩薩であると主張されております。この主張は日本独特な信仰に基づいており、中国以前には見られませんでした。その意味で、閻魔と地蔵が同じというのは日本独自のものです。

余談ですが、閻魔とはインドの古い神で『リグ・ヴェーダ』にも出ております。その役割は死後の楽園の王、死後の世界にいる祖先の霊を支配する王として考えられていました。。。

コメント一覧

tenjin95
コメントありがとうございます。
> おき太 さん



まさに、日本に於ける来世信仰は、一方で閻魔、他方で地蔵と両面的な形式をもって行われている好例のようなお祀り方であると言えましょう。



十王図ですが、拙僧見たことはないのですが、明確に十王信仰が強い御寺院さんでは公開されるかもしれませんね。なお、余談ですが拙僧のお寺では本堂のふすま絵に、西方に浄土図、東方に地獄図が描かれております。これも来世信仰の一形態であると言えましょう。
おき太
こん@@は。以前永平寺にお参りした折に、祠堂殿にお地蔵様と閻魔様が並んで祀られていました。今日16日はお盆のお墓参りの日ですが、十王図を公開するお寺さんもあるのでしょう。
tenjin95
皆さんコメントありがとうございます。
> ハリーさん



ちょっと、テレビに対応してみて、どれくらいアクセスがあるかを試してみるつもりで、急遽記事にしてみました。なお、ほとんど効果ナシでございます。



まぁでも結構面白いですね。



> まんぞう さん



キリスト教などでは、特に他の宗教で正義の神であっても、他の宗教ごと神も一緒に否定し、全て悪魔になりました。その意味で、やはり共同体の勝手で善・悪なんていう位置付けは変わるものだということが、歴史的には実証されております。



ですので、時間・空間が異なれば全てが異なり、時間・空間を超えて絶対的な善・悪など無いのではないか?と拙僧は思います。
まんぞう
本題と離れてしまいました・・・すいません
tenjin95さんこんばんは。ちょうど仕事から帰ってきて私も見ていました。「へぇ~」と言ってしまっている自分がいました。。私は学生時代に手塚治虫の「ブッダ」という漫画を見てからでしょうか、今回のような神様のお話は物語として結構好きで、つい興味をもって見てしまいます。特に今年のGWに京都に行って生まれて初めて三十三間堂の仏像や風神~雷神の神々の像を見てから、それら一体一体の神様に数多くの薀蓄があるのにますます興味を覚え、いろいろ調べてみたことがあります。細かくは覚えていないのですが、おもしろかったと感じたのが、仏教にも(何の宗教かは解りませんが)インドの神様にも同じ神様が存在し、それらは宗教によって解釈のされ方が違ったりするものもあるという事でした。たしか阿修羅?様?は善と悪が正反対で典型的だった様な・・・。何の境なのかは解らないのですが中国側とペルシャ側辺りで同じ神様でも一方では良い神様、一方では悪い神様?!の様な対照的な解釈であったようですね。私はどちらの言われていることが正しいのやら、、とか思ってしまったりもしましたが、所詮神様も人が作り上げたものだけに、地域同士の対立による人々の感情でそのような解釈の違いが発生してしまい、設定に矛盾が生じているのでしょうか?こんな場合どちらの説にも「真」も「偽」も無いということなんでしょうか。すぐに白黒はっきりさせたがってしまうのが悪い癖なのですが、読んでいるとどうやって割り切ったらよいのかとかな?と思ってしまいます。やはり先にあるインドの説の方が正しいと見るべきなのでしょうか?
ハリー
そうなんですか
http://harryhk.exblog.jp/
トリビアを見てなかったので、tenjin95さんの記事のタイトルをみて驚いたのですが、そうだったのですね。

納得しました。ありがとうございます。
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