長谷川如是閑は「憤怒の多くは真なり、冷静の多くは偽りなり」(岩波文庫『長谷川如是閑評論集』357頁)という言葉を残している。しかし問題は、怒ったふりが可能で、演技者が多いということであり、どこまで本気なのかをなかなか伺わせないことである。また、仏教では怒りを「貪瞋癡の三毒」の1つといわれ、抑えるべきだとされている。 しかし、本当に相手が誤っていたりする時には、怒りを表現して指摘した方が、真意が伝わることもある。その意味では、怒りをただ捨て去ってしまうのは、方便を理解していないことの証拠だ。 怒りで我を忘れてしまうのはあってはならないことだし、普段から周囲に対して怒りをぶつけている場合は問題だが、普段怒らない人が敢えて怒りを表現するというのは、相当な威力があることだ。長谷川如是閑もそれをいいたいと思う。 従来の記事は【カテゴリー約300字で仏教】からどうぞ。 この記事を評価して下さった方は、を1日1回押していただければ幸いです。