つらつら日暮らし

約300字で仏教(92)

明恵上人の伝記には、様々な不思議なことがいわれるけれども、若い頃の文章にこそ悲壮感がある。

十三歳の時、心に思はく、今は早十三になりぬ。既に年老いたり。死なん事近づきぬらん。老少不定の習ひに、今まで生きたるこそ不思議なれ。
    『梅尾明恵上人伝記(上)』


今の世であれば、まだ13歳という。しかし、明恵上人はその時に、もう13歳であると思い、一刻も早く仏法を得なければ、と焦ったという。当時であれば、老少不定という年老いた者から死んでいくという世では無かったわけだが、それにしても悲壮感が過ぎる。ただし、無常を観ずれば、自ずとこういう焦りが出て来るものだ。

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