新型コロナウイルスを歴史に学ぶ(その8)
伊能忠敬研究会東北支部長
元日本大学工学部講師
松宮輝明
政府は、5月14日、緊急事態を8ッの都道府県を除き解除しました。各県知事に新しい生活の指針の判断を任せました。
新型コロナウイルスに感染した芸能人の志村けん、岡江久美子,元外交官岡村幸夫氏など著名人が亡くなり、コロナウイルスの脅威を感じました。
100年前のスペイン風邪では、日本内地、朝鮮、台湾を含め74万人が亡くなりました。日本内地の人口が5600万人で、東京府で一日の死亡者は200余名です。
死亡者、死亡率は、日本内地で45万人(0.8%)、朝鮮23万人(1.4%)、台湾5万人(1.3%)でした。
原敬総理、内田内大臣、高橋大蔵大臣も感染し、明治天皇の侍従長、徳大寺実則などの政治家や、皇族では竹田宮恒久王(明治天皇の玄孫、竹田恒泰氏の曾祖父)も薨去されています。演出家の島村皐月、新劇女優、松井須磨子、山川健次郎の妹、鹿鳴館の華、大山捨松も亡くなりました。歌人の与謝野晶子の12人の子ども達も感染し,晶子が政府に抗議の声明文を出し話題になりました。
福島民報は、大正7年11月1日付で「流行性の悪感冒各駅を襲う、福島運輸事務所轄内のみにて約200余名。欠勤は従業員の一割に当たった」。2日付には「出勤中の軍隊に 流行性感冒猛威を振ふ」、3日付には喜多方で「罹[り]病、将卒60余名、寺院に収容される」。 学校も休校となる。4日付には「安積中学校、福島高女学校、休校す」「伝染の猛烈なる事空前也」とあり、250人中感染者は127人を数えた。
9日付で「感冒悪性となり、死亡者続出す、若松市民3分2、2万人罹病」と感染が拡大。12日付「引き続く死人 火葬場は大混雑」「野口博士母堂逝く」と、野口シカの死亡を伝えています。 翌年2月12日付は「県下の流行感冒 死者800人に達す」。
茨城県では、茨城県の死者数は約7620人との記録があります。
岩手県盛岡市を襲ったスペイン風邪は、市内の各商店、工業を休業に追いやり、多数の児童が欠席し、学校は休校とした。6日の岩手日報紙面は「罹患者2万人を超ゆ 各方面の打撃激甚なり 全市困惑の極みに達す」と報道しています。フォームの始まりフォームの終わり
茨城県では、茨城県の死者数は約7620人との記録があります。
岩手県盛岡市を襲ったスペイン風邪は、市内の各商店、工業を休業に追いやり、多数の児童が欠席し、学校は休校とした。6日の岩手日報紙面は「罹患者2万人を超ゆ 各方面の打撃激甚なり 全市困惑の極みに達す」と報道しています。フォームの始まりフォームの終わり
秋田県、秋田魁新報、1918年11月26日「県は翌大正8年2月の通知で、わずか数カ月の間に県内で25万人が感染し、3200人が亡くなり赤痢、コレラよりさらに恐るべし、未曽有のありさまを呈したり」と県民に伝えています。
スペイン風邪の病原体であるH1N1型ウイルスは、当時の光学顕微鏡で見ることが出来ず、人類がウイルスを観測できる電子顕微鏡を開発したのは1930年代です。
ヒト、モノが航空機という、船舶よりも何十倍も速い速度で移動できるようになった現在、新型ウイルスの伝播の速度はスペイン風邪当時とは比較にならないものです。だが100年前のパンデミックと違うところは、私たちの医学は驚くほど進化し、そして当時、その原因すらわからなかったウイルスを、直接観察することが出来がることで。人工的にウイルスすら制作できる技術力を持っています。
新型コロナウイルスの第2波が秋に来ます。新型コロナウイルスは東大の研究によると、動物の猫にも感染が見つかりました。
動物に感染するとコロナは進化し、強い毒性を持ちます。人から動物、そして人に感染する様になります。
新たに進化した「新興感染症」に備えなければなりません。
写真 会津藩士山川健次郎(東京帝国大学総長)の妹、津田梅子とアメリカ留学、大山弥助(巌)と結婚し、鹿鳴館の華と称された。津田梅子「津田塾」の開設に貢献し、スペイン風邪に感染し亡くなる。
◎与謝野晶子、12人の子どもがスペイン風邪に感染しました。