市野々王子を経て古道はいよいよ熊野那智大社への参道である大門坂へ。
大門坂と夫婦杉
熊野古道の中でも、当時の面影を特に美しく残している「大門坂」
この熊野古道には三箇所の関所があったと言う。この振ヶ瀬橋の鳥居前に三番目の新宮藩関所があったそうだ。
この橋を渡った先からが那智山の聖域と云われる。聖域と俗界を振り分ける橋だから「振ヶ瀬橋」との事。
樹齢八百年といわれる夫婦杉が長い道程の苦労をねぎらってくれる。
見事な杉が立ち並ぶ大門坂の途中には、熊野九十九王子最後の王子社である多富気王子跡があり、多富気王子を過ぎれば程なく最終目的地である熊野那智大社に到着する。
多冨気王子跡
最終の王子社である。
「手向け」(神仏や死者の霊にささげ物をする事)の意味とも、また、那智山社僧の「潮崎多富気」が設けたから多冨気王子社と命名されたとの説もあるようだ。
苔むした石段と樹齢八百年を越す老杉等に囲まれ、聖地「那智山」へと石畳が続く。
熊野那智大社
参道入口から4百数十段の急な石段を登って行き、大きな赤い鳥居を潜ぐると熊野那智大社の社殿はもうすぐそこ!
熊野本宮大社・熊野速玉大社と共に熊野三山と呼ばれ、古来より多くの人々の信仰を集めた熊野那智大社は、那智山青岸渡寺とともに熊野信仰の中心地として栄華を極め、今なお多くの参詣者が訪れている。
夫須美神を御主神として神様をお祀りしている。また、夫須美神は伊弉冉尊(イザナギノミコト)ともいい万物の生成・育成を司るとされ、農林・水産・漁業の守護神、また縁結びの神様として崇められているそうだ。
熊野三山の一つ熊野那智大社参拝で熊野古道九十九王子巡りのこの旅も目的達成。 これまでの疲れも、熊野三山詣でを果たした心地よい達成感によって拭い去られた感だ。
西国33ヶ所観音霊場である那智山青岸渡寺、そして那智大滝にも立ち寄ってみた。
那智山青岸渡寺
如意輪観世音を祀る青岸渡寺は、千日の滝篭りをされた花山法皇が永延2年(988)に御幸行、西国33ヶ所観音霊場巡り1番札所として定めたとされ、多くの信者や参詣者が訪れている。
明治の神仏分離までは熊野那智大社と一体で、現在の本堂は当時の如意輪堂だったそうだ。
現在の本堂は天正18年(1590)に豊臣秀吉が再建したもので、桃山時代の特徴を色濃く残し、国の重要文化財に指定されているそうだ。
本尊真言 おん ばだら はんどめい うん
御詠歌 補陀落や 岸うつ波は三熊野の 那智のお山にひびく滝津瀬
那智大滝
那智山の奥山、大雲取山から流れ出る本流にいくつもの流れが重なり合い、ついには原生林を切り裂くように落下しているのがこの那智の滝だ。
水柱は落差133m、銚子口の幅13m、滝壺の深さは10mの名瀑だそうで、落差は日本一。
ひとこと
昨年初から始めた「熊野古道(中辺路)散歩」も12回のブログuPで満願成就。そして、熊野古道九十九王子巡りも、紀伊路から中辺路と巡りながら、熊野三山詣でを果たすことが出来た。
ひとえに、皆さんのご視聴が後押しとなり、無事達成する事が出来ました事、誠に、ご視聴ありがとうございました。