われらがボスは少々オツムが弱いようで、奇妙なことを言って私を笑わせてくれます。
例を挙げますと、
朝の挨拶は「おはようございます」と言うだけではダメで、ボスが朝部屋に入ってきたな ら、ずさっと立ち上がり、声 を そろえて「おはようございます」と言え、とか。
帰宅の際、部屋中に聞こえるように「お先に失礼します」と言うだけではダメで、ボスの前に行き、ボスよりも早く帰 宅 する理由を述べてから帰れ、とか。
そのほかにも、どうでもいいような細かいことを縷々。
私は馬鹿馬鹿しいのでことごとく無視していますが、何も注意されません。
どうも一匹狼的な立ち位置になってしまったようで、緩やかに干されています。
でもそれは私の望むところです。
干されて給料をもらえるんなら、こんな楽なことはありませんから。
その冷たい風貌と官僚的硬直から、私は密かにボスをゲシュタポと呼んでいるのです。。