田中真紀子文部科学大臣、外務大臣の時の教訓を生かしていると思われ、大人しくしていました。
しかしこのたび、驚愕の政治判断を下しました。
大学設置審議会の長期にわたる審議の末、設置が認められた三つの大学や学部の設置を認めない、とちゃぶ台返しのようなことをやらかしたのです。
私も新しい学部の設置事務に携わったことがありますが、膨大な量の書類の提出を文部科学省に求められ、たいへんしんどい仕事でした。
それを2年も続け、審議会は慎重に審議し、設置を認める答申が文部科学大臣に提出されれば、事実上新設OKということです。
三つの大学、学部は文部科学大臣による最終的は決裁を、今や遅しと待ち受けていたことでしょう。
今度の春の入試要項を印刷していまった学校法人もあるやに聞き及びます。
もちろん、大学や学部の新設を許可するのは、文部科学大臣の専権事項です。
したがってこのたびの田中大臣の判断は、手続き上の瑕疵はありません。
しかし、この三十年、審議会の答申を大臣がひっくり返したことはありません。
いったい田中大臣は、きちんとそれぞれの大学、学部が提出した書類及び答申の中身を精査したのでしょうか。
私にはそうは思えません。
あまりに膨大な書類だからです。
むしろ、大学が増えすぎて学生や教職員の質が落ちてきているという風評や、学生が集まらずに閉校を余儀なくされた大学があること、さらに、北関東の某学校法人が解散命令を受けたことなど、最近の大学をめぐる状況から、新しい大学や学部の設置を認めない、という政治判断を下したものと思われます。
これは法治国家としてはあるまじき判断です。
法に照らし、設置基準を満たしていれば、世の中の風潮とは関係なく、設置を認めなければなりません。
そうでなければ、政治家が恣意的に設置を認めたり認めなかったりできることになり、文教行政及び学校現場は混乱し、文部科学大臣が替わるたびに戦々恐々としなければならなくなります。
まして新しい大学・学部を目指して勉強に励んでいた学生が哀れでなりません。
田中文部科学大臣、就任の時は外務大臣時代の苦い経験の反省のうえに、官僚の意見もよく聞いて、適切に大臣職をこなしていくようなことを言っていましたね。
しかし、三つ子の魂百まで、とか申します。
人間の本性や思考パターン、行動パターンがそう簡単に変わるわけもありません。
今や人事下手ですっかり有名になってしまった野田総理。
今回の文部科学大臣人事も、どうやら失敗に終わりそうです。
人の上に立つ人の資質は、いかに下の者の能力を見抜き、適切な職につけるかが最も重要であると思います。
総理大臣一人でなんでも決められるわけはないのですから、大きな方針を示したなら、部下に任せる度量が必要でしょう。
そしてたとえば小泉訪朝のような、トップが出ていかなければどうにもならない案件でのみ、自ら直接手を下せばよいのです。
野田総理、民主党の総理としては前の二人が滅茶苦茶であったため、まともな人に見えますが、人事を見ていると、まともな部下の管理はできないようです。
三年前の民主党ブームが嘘のように、今の国民は民主党の政権運営にうんざりしています。
これ以上国民をミス・リードし続けるのは、国民の一人として我慢なりません。
もういい加減腹をくくり、衆議院解散を決断したらいかがでしょう?
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