ねほりんぱほりんというNHKの番組をご存知でしょうか?
同居人がこの番組が好きで、毎回録画しています。
少年院帰りの人や、国会議員避暑などが豚のぬいぐるみで登場し、もぐらのぬいぐるみの聞き手が裏話を聞いてびっくり仰天するという趣向の番組です。
で、キラキラ・アカウントを持つ人が登場する回を見ました。
キラキラ・アカウントとは、実際は地味な生活を送っているのに、さもセレブであるかのように偽装してツイッターに発信し、フォロワーが増えたり、いいねをたくさんもらったり、逆に炎上させたりして、架空の自分を楽しむ人たちのことです。
番組に登場したのは、関西の田舎、田んぼだらけの町で地味に事務職をしている20代後半の女性。
ツイッターでは、港区出身で現在も港区に在住するOLを演じている女性です。
実際には数回しか東京に来たことがないそうですが、様々に東京の情報を集め、たまに東京に来たら高級ホテルのラウンジなどの写真を撮り貯めし、小出しにアップして、ハイスペックの彼氏を持ち、お金持ちの両親に甘やかされて育った、という幻想をもとに、ツイートを楽しむのだそうです。
滑稽な行為ではありますが、涙ぐましいまでのマメさで港区わがままOLを演じ続けるその姿に、切なささえ感じました。
誰でも、お金持ちになりたいとか、有名人になりたいとか、そんな欲望を持ち、そうなった自分を夢想したことはあると思います。
しかし、それをわざわざツイッターで偽装して喜んでいるとは、馬鹿馬鹿しいかもしれませんが、そこまでやる、その精神性を思う時、人間の持つ欲に、慄然とするとともに、どこか物悲しい気分になります。
その女性いわく、もう現実世界で充実した人生をおくることは諦めたそうです。
それならばツイッター上にのみ存在する、港区わがままOLという存在は、彼女の夢想そのものであり、一種の現実逃避なのでしょうね。
現実逃避をしなければ精神の安定を保てないほど、追い込まれているのでしょうか。
人間精神の運動というものは、じつに様々な方向へ向かうものだと、呆れるやら、悲しいやら、複雑な気持ちにさせられました。