今日は六本木ヒルズの森美術館に出かけました。
展覧会は、小谷元彦展 幽体の知覚です。
現在活躍中の30代の芸術家による作品群は、美と醜の垣根を軽々と乗り越え、物思わしげな雰囲気で、私に迫ってきました。
床と天井に鏡を張り、四方を滝の映像を流します。
すると、上を向けば滝に上っていくように見え、下を向くと奈落に落ちていくように見えます。
私は上を向いたり下を向いたりして、自然の造形を自在に操る技に酔ったのです。
また、痩せた馬に乗った骸骨のように痩せた男が刀を振り上げている等身大の彫刻は、ぞっとするほどの迫力がありました。
この作家は、造形の根源を覗きたいという深い欲望を抱えているかのごとく、骸骨だったり、鍾乳洞だったり、少女だったりを、哲学的とも言える問いかけをもって投げかけてくるのです。
そのため、見終わったあと、非常な疲労を感じました。
帰りは六本木ヒルズから麻布に向かい、麻布十番商店街を冷やかし、疲労を癒すため珈琲をいただき、大江戸線の麻布十番駅から帰りました。
疲れましたが、むしろ心地よい疲れで、充実した美術鑑賞だったように思います。
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小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motohiko Phantom Limb |
小谷元彦 | |
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