楽園の薔薇
13.ライガールの薔薇
<4>
自分より格下だからといって、なめていた。
「…お、大きなお屋敷ですね…」
寝起きのイスフィールは、ライガールの屋敷を見て少しめまいがした。
フレイルはどこか嬉しそうな顔をして家に入る。
ロビーのようになっているそこは、やっぱり広い。
そこには階段が2つあり、それぞれ別の方に行くようだ。
右側の階段を上っていくフレイルをイスフィールは追いかけた。
「大きいだろ?でも、これだけ広いところなのに母上達は住まないんだ。広いところが嫌いらしくてね。」
「え、じゃぁ奥様方はどこに…?」
「うん?あぁ、町にいるよ。もう俺とは三年近く会ってないかな。」
「…三年。」
しかも、聞くところによると使用人達もいないんだとか。
ずっと一人で生活してきたらしい。
貴族のイメージと違って、フレイルは(自称だが)庶民の暮らしをしてきたようだ。
イスフィールは貴族に対してものすごく誤解してきたことに気付いた。
…しかし、自分も貴族で、ある意味政治の中心である人物だということには気付かなかった。
ふと、フレイルが立ち止まった。
「…さて、イザベラ。」
「はい?」
「使用人はアクアマリンの方なんだけど…」
「…何の話です?」
アクアマリンというと、鉱物の緑柱石が鉄分を含んだときに水色に発色したときの宝石名だ。
ちなみに、緑柱石は微量元素が違うと色が変わり、宝石名も変わる石だ。
緑のものだとエメラルドになる。
「使用人の部屋の話だよ。」
アクアマリンについての知識を引っ張り出していたイスフィールは、その言葉の理解が遅れた。
「あぁ…、部屋ですか。アクアマリンというのは?」
「使用人と主は住む場所が違うだろう?」
フレイルはそこでいったん言葉を切り、窓の向こうに見えている建物を指さす。
「だから、使用人の所をアクアマリンと呼んで、こっちをヘリオドールと呼ぶんだ。」
確かに、さっきロビーらしきところからこっちに来たとき、反対側にも階段があったけれど。
そっちを行くとアクアマリンに行けるということらしい。
そういえば、ヘリオドールも緑柱石からできる宝石だった。
黄色の物で、別名ゴールデン・ベリルという。
「それでね、あっちにはもう誰もいないんだ。」
「さっき使用人達もいないって言ってましたしね。」
「そうそう。だから…君はどうする?こっちにいてもいいけど。」
「あー、いいですよ。アクアマリンの方で。」
イスフィールは別に一人が嫌いというわけでもない。
まぁ、このだだっ広い屋敷に一人でいるというのが怖い人もいるかもしれないが。
それに、黄色よりは水色の方が好きだし。
イスフィールは思ったことを聞いてみた。
「ところで、なんでどっちも緑柱石が元の宝石なんですか?」
フレイルはにっこり笑って答えた。
「だって、緑柱石がライガールの石じゃないか。薔薇姫様がくれた、ね。」
…楽園では、中央と東西南北でそれぞれの領地を守る守護石が決まっている。
それは代々薔薇姫が定めるものであり、イスフィールも例外ではない。
だから、今回の守護石は『薔薇』を嫌がっていた頃のイスフィールが勝手に決めたものだった。
やばい、忘れてた…!
そんな感じで、イスフィールのライガールでの生活が始まった。
written by ふーちん
13.ライガールの薔薇
<4>
自分より格下だからといって、なめていた。
「…お、大きなお屋敷ですね…」
寝起きのイスフィールは、ライガールの屋敷を見て少しめまいがした。
フレイルはどこか嬉しそうな顔をして家に入る。
ロビーのようになっているそこは、やっぱり広い。
そこには階段が2つあり、それぞれ別の方に行くようだ。
右側の階段を上っていくフレイルをイスフィールは追いかけた。
「大きいだろ?でも、これだけ広いところなのに母上達は住まないんだ。広いところが嫌いらしくてね。」
「え、じゃぁ奥様方はどこに…?」
「うん?あぁ、町にいるよ。もう俺とは三年近く会ってないかな。」
「…三年。」
しかも、聞くところによると使用人達もいないんだとか。
ずっと一人で生活してきたらしい。
貴族のイメージと違って、フレイルは(自称だが)庶民の暮らしをしてきたようだ。
イスフィールは貴族に対してものすごく誤解してきたことに気付いた。
…しかし、自分も貴族で、ある意味政治の中心である人物だということには気付かなかった。
ふと、フレイルが立ち止まった。
「…さて、イザベラ。」
「はい?」
「使用人はアクアマリンの方なんだけど…」
「…何の話です?」
アクアマリンというと、鉱物の緑柱石が鉄分を含んだときに水色に発色したときの宝石名だ。
ちなみに、緑柱石は微量元素が違うと色が変わり、宝石名も変わる石だ。
緑のものだとエメラルドになる。
「使用人の部屋の話だよ。」
アクアマリンについての知識を引っ張り出していたイスフィールは、その言葉の理解が遅れた。
「あぁ…、部屋ですか。アクアマリンというのは?」
「使用人と主は住む場所が違うだろう?」
フレイルはそこでいったん言葉を切り、窓の向こうに見えている建物を指さす。
「だから、使用人の所をアクアマリンと呼んで、こっちをヘリオドールと呼ぶんだ。」
確かに、さっきロビーらしきところからこっちに来たとき、反対側にも階段があったけれど。
そっちを行くとアクアマリンに行けるということらしい。
そういえば、ヘリオドールも緑柱石からできる宝石だった。
黄色の物で、別名ゴールデン・ベリルという。
「それでね、あっちにはもう誰もいないんだ。」
「さっき使用人達もいないって言ってましたしね。」
「そうそう。だから…君はどうする?こっちにいてもいいけど。」
「あー、いいですよ。アクアマリンの方で。」
イスフィールは別に一人が嫌いというわけでもない。
まぁ、このだだっ広い屋敷に一人でいるというのが怖い人もいるかもしれないが。
それに、黄色よりは水色の方が好きだし。
イスフィールは思ったことを聞いてみた。
「ところで、なんでどっちも緑柱石が元の宝石なんですか?」
フレイルはにっこり笑って答えた。
「だって、緑柱石がライガールの石じゃないか。薔薇姫様がくれた、ね。」
…楽園では、中央と東西南北でそれぞれの領地を守る守護石が決まっている。
それは代々薔薇姫が定めるものであり、イスフィールも例外ではない。
だから、今回の守護石は『薔薇』を嫌がっていた頃のイスフィールが勝手に決めたものだった。
やばい、忘れてた…!
そんな感じで、イスフィールのライガールでの生活が始まった。
written by ふーちん
生活が始まったのかぁーー。。
なんか楽しみw
始まるのだよ~
鈴音…さん?
アティスかい?
りあるの名前が六文字
なんて呼べばいい?
なんでもイーヨー
その答えが一番困る;;